HOME 読みもの カルチべブログ たべごろ!ごろごろ大放送! 最近の洋ナシは美味しいゾ カルチべブログ たべごろ!ごろごろ大放送! 最近の洋ナシは美味しいゾ KILO808 公開日:2019.12.12 横たわる裸婦を思わせる豊満なフォルムに高貴な甘い香りをまとい、緻密な果肉とねっとりとした食感、まさに『口福』をもたらす果物【洋ナシ】。「食べ時がむずかしい」、「ちょっとお高い」と敬遠していた方も多いのでは。こんにちは、KILO804です。今回は、近年、出荷技術の向上により食べやすくなり、産地の努力によって安定出荷されている洋ナシについて、リポートします。 年末に『洋ナシ』のススメ! 冷蔵庫に陳列されている洋ナシ品種『ル レクチエ』の3個入りパック。おそらく、大きさの選果ではねられたものを、買い求めやすいようにしてくれるのは、消費者にとってはうれしい。 手袋しないと寒いと思い、タンスを探して手にはめてみると、親指が出ない。アレ? 次男の靴下だ。グッと気温が下がった12月。連日の忘年会で胃が荒れ気味のKILOです。お呼ばれする内は花だと思って、すべて参加しています。さて、今回もブログのネタを探しに、いつものむさしやさんに伺いました。 「KILOさんいらっしゃい。お疲れ気味じゃない」 「うん、忘年会で、食べ過ぎ、飲み過ぎなの」 「飲みすぎっていったら、カキだね。トロットロにしてスプーンですくって食べるカキがあるけど」 「トロトロのカキは、実家の母が好きで、よく食べる姿を見てたけど。僕はどちらかというと干し柿の方が好きなんだよなぁ。ほかに、年末に幸せな気分になれる果物ない?」 「あるよ~。洋ナシはいかが? 『ラフランス』と『ル レクチエ』の食べ比べとか」 「洋ナシかぁ。食べごろを見極めるのが難しいからなぁ」 「大丈夫だよ。いまは出荷技術が向上して、追熟の品質も上がってきたから。食べてみて!」 ということで、洋ナシについて飯島さんに詳しく聞いてみました。 予冷技術が進化。値段も普段使いできるレベルに 食べごろを逃しやすい洋ナシですが、出荷技術の向上で、サビが回る前に食べてしまっても、青臭いことはなく、そこそこ美味しく頂けるようになったと感じています。果肉が緻密なので、4分の1個食べれば満足するとおもうので、300円は安いと思う。 洋ナシの出荷は、大田市場の場合、9月中旬から信州、山梨地域から始まりますが、出荷量が少ないので、1回の出荷で終わる場合が多いそうです。 『バートレット』や『プレコース』、『ブランデーワイン』などの早生品種から出回りますが、飯島さんによるとこの3種はいずれも固めなのでコンポートなどの調理に向く品種だそうです。「熟してもモッサリしていて、生食には向かないかなぁ。硬いうちに煮切った赤ワインに入れて調理すると美味しく食べられるよ」ということでした。 その後、品種『オーロラ』など早生品種が出荷された後に、ラフランスが出荷されます。信州からのラフランスの後に、大産地である山形県からの出荷がみられます。 形がそろいにくいように思える洋ナシ。選果も難しいんだろうなぁ。個別選果ならまだしも、産地でとなるとご苦労なさっていると想像します。「大きさや重量の他に、皮をむいてしまえばなんてことないんですが、画像のようなキズが等級を決めてしまう」と飯島さん。 洋ナシは、飯島さんの話では、予冷後に常温に戻すことによって果肉が柔らかくなり甘みも増してくるということでした。産地によっては、予冷期間を短くし、エチレンを使って追熟させる方法をとるそうですが、飯島さんは、エチレンを使った追熟方法よりもじっくりと予冷させた洋ナシのほうが美味しいと言っていました。出荷処理を試行錯誤し、出荷時期や食味をコントロールする産地の努力に脱帽です。信州では予冷とエチレンを組み合わせた方法で山形県産よりも早く市場出荷し、山形ではじっくりと予冷処理されて出荷されるそうです。出回る時期がずれているので、食べ比べできるかどうかわかりませんが、試してみる価値はありそうですね。 サビが回っている果実の方が甘くておいしい!? 洋ナシは、リンゴやミカンのように形をそろえるのが難しい果実です。選歌基準ってどのあたりにあるのでしょうか。「大きさ、キズの有無、サビの入り具合かな。ある産地では、『ゴールドラフランス』といって、サビがびっちり入っている個体を選別して出荷するケースもあります」と飯島さん。 そこで、サビが回っている個体と、追熟がまだかかる個体とで食べ比べてみました。 サビが回っている個体(右)とサビが回っていない個体(左) サビって傷んでいるようにみえるけど、生育中に充分太陽に当たっているとサビが出てくるんだよね。と飯島さん。洋ナシの場合は葉付きのままの方が甘みは増すように感じるが、リンゴは葉とらずでも、甘くなるから、面白い。 包丁にピタッと貼り付く洋ナシ。ネットリとした感じが包丁から伝わってきます。早く食べたい。 上段:サビが回ったラフランス。果実がしまった感じでした。下段:サビが回っていない個体。みずみずしさが見られました。 実食したところ、確かに、サビが回って熟しているほうが甘い! でも、サビが回っていないほうが、みずみずしくて、これはこれで、美味しいと私は感じました。が! 味の奥の方で青臭い感じも発見しました。「未熟」だと感じることができました。糖度計で調べたところ、サビが回っている個体が13度、未熟のものが12度でした。サビが回っている洋ナシの方が、糖度が若干高いことがわかりました。 スーパーで買うときに、どうしたって見た目が綺麗な方を選びますよね。家に帰ってすぐに食べたい場合は、勇気をもって傷んでいる(ように見える)洋ナシを購入してみることをおススメします。冷蔵庫に入れると追熟を遅らせることもできますので、とりあえず買っておこうという場合は、サビが回っていない個体を選ぶのもアリ。結論、食べる時期に合わせて、サビてるか、そうでないかを選んで買うってことですね。 キングオブ洋ナシ『山形産ラフランス』の双璧をなす、クイーンオブ洋ナシ『新潟産ル レクチエ』 『新潟産ル レクチエ』は追熟された状態で出荷されているのだろうか、黄色く個体が目立つ。一見して美味しそう! 飯島さんのところでは1個700円。ラフランスの約2倍。その価値があるんです。 さて、勝手に言わせていただきますが、洋ナシクイーンこと『新潟産ル レクチエ』を試食してみます。この『ル レクチエ』は古くからある品種なんだそうですが、追熟期間が長いのが普及の妨げになっていました。かつては、産地も食べ方、食べごろがわからず、「25年前は、青いまんま、5キロ500円でゴロっと売られてました」と飯島さん。市場性はないと思われていた品種ですが、栽培・出荷技術の向上で、11月から年末にかけて、洋ナシキングと並ぶ、口福をもたらす洋ナシクイーンとして君臨するようになったそうです。値段も『ラフランス』の上を行く『ル レクチエ』。希少性だけではなく、美味しさでも、供給量でも、今後期待できる洋ナシ品種なのではとKILOは思います。 西洋絵画の裸婦を思わせるような、ふくよかなボディ。個人的にはガリガリよりも、こっちが好き。なんのこっちゃ。 食べごろについてのパンフレット。絶対に美味しく食べてもらいたいという産地の執念が見て取れる。これがあると、わかりやすいね。 包装紙にも「食べごろのサイン」が。 新潟産『ル レクチエ』実食してみました。甘い! ほのかに甘いのではなくて、甘い! 追熟のタイミングが良かったせいもあって、香りも良く、歯触りも口腔内に貼り付くような感じで良かったです! 『ラフランス』の一段ギアが上な感じですね。糖度は15度でした。果肉はやわらかい部類ですので、これはコンフィに調理しないで、生食が一番だとKILOは思います。生食もいいのですが……、この撮影は深夜にやってましたので小腹が。食パンの上に『ル レクチエ』を一切れのせて、トースターで軽く焼くと、深夜に食べてはいけない食べ物になりました。うまい! うますぎる! 思わすおかわり。おススメ。 二つに切ってみました。ラフランスに比べこの個体は小さかったですが。ねっとり感と甘い方向はラフランスを超えてました。 というわけで、洋ナシを食べ比べてみました。買ってすぐに食べても大満足の洋ナシが店頭に並ぶようになりました。生産者や産地の努力の賜物です。以前、追熟に失敗して洋ナシを敬遠しているかたは、ぜひ、今の洋ナシを召し上がってみてください。 おまけ。農業実習はリンゴ・オウトウ園でした ちょっと脱線します。読み飛ばしてください。自分用備忘録的つぶやきです。 KILOは1990年頃の学生時代、東根市神町にあった『烏農園』という果樹園で実習をしました。KILOのその後の人生に大きな影響を及ぼした1週間でした。オウトウやリンゴを生産する烏さんに、当時問題になっていた「農協離れ」や「水利権」について話を聞き、リンゴのせん定や接ぎ木、わい台や環状剥皮などなど、栽培にまつわる様々な事について教えていただきました。実習中に、学生の私が「烏さんは、洋ナシを生産しないのですか?」とたずねたところ、約30年前のことですが、「いやぁ、まだ上手くできないんだよ。生産量も少なくって商売にならないよ」とおっしゃっていたのを覚えています。実習の最後に、「なにかしら農業に携わる仕事をしてほしい」と烏さんに託され、大学を卒業。 その後、出版社に就職し、自分が編集した農業雑誌を烏さんに送っていたのですが、ある日電話がかかってきて、「面白くない。週刊宝石の『オ○パイ見せて』『○女探し』の方がおもしろい」と言われてズッコケました。それは烏さんの最大級の誉め言葉なのはわかってました。職人って、どうして素直じゃないんだろうなぁ。烏さんが、洋ナシを作っていたら、きっと美味しいものになったんだろうと想像するのですが。どうせ「洋ナシなんてやらないよ」とかいうんだろうな。元気かな、烏さん。 ありがとうございました! さて、約一年間、くだものを買って食べて報告するだけのブログにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。今年はプラムとマンゴーをたくさん食べました。来年も、懲りずに、わが町の果物屋さん「むさしや」を発信源とする果樹情報をお届けします。産地へ取材とかもいってみようかな!? それでは、よいお年をお迎えください。 次回KILOの担当は1月16日です。 追伸 むさしやさんの近所にある小学校では、給食で『紅まどんな』が出たそうです。それをたべた小学生が一言「オレンジジュースを皮で包んだような果物だ!」。みずみずしさは雑柑のなかではトップだそうです。 追伸2 KILOは若い頃、好んで釣りをしていました。おもにルアー釣りです。釣りキチ三平世代です。会社の先輩と週末、釣り堀にいって、リハビリ中なのです。 会社の先輩とYGL丹沢ヤドリギにて。11月中旬。 座間養魚場。12月上旬。先輩はフライで。 座間養魚場で釣ったニジマス。家に持ち帰りフライにして食べました。 この記事をシェア 関連記事 2021.6.3 梅雨のベランダとゼラニウム こんにちは。さかもんです。 そろそろ鉢植えを家に迎えたいなと言いつつ、早くも6月 […] クジャクサボテンゼラニウムガクアジサイハナショウブ 2021.6.3 旬をとじこめる こんにちは。梅雨入り目前の時期ですが、最近は気持ちの良いお天気が続いていましたね […] デラウエアスイカソラマメちまきサクランボアメリカンチェリー 2021.5.28 「水耕栽培ガチャ」を発見! みなさまこんにちは!とぅーすです。 東京は日の入りが18時半と、ずいぶん長くなり […] モヤシ