農耕と園藝 online カルチべ

生産から流通まで、
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新規就農ガンバリズム

第35回花卉懇談会セミナー 誰でも使える花き園芸の情報技術~生産・流通利用への可能性~

公開日:2019.09.02更新日 2019.08.26

花き園芸業界の発展のために、30年以上にわたって活動を続けている「花卉懇談会」。2019年7月27日(土)、ICTについてのセミナーが開催され、約100名が参加。いかにしてICTを取り入れるかを学びました。「農耕と園藝秋号」に続き、内容を抜粋して紹介します(会場/東京農業大学 世田谷キャンパス1号館 141教室)。

 

(クレジット)

取材・文/高山玲子

 

(小見出し+名前)

施設園芸生産のスマート化〜ユビキタスICTプラットフォームの導入がもたらす産・流・商連携への期待〜

星 岳彦氏(近畿大学生物理工学部教授)

 

スマート農業は考える農業

スマート農業は考える農業です。ここでCO2施用のお話をしたいと思います。生産者さんは、損得を考え、収益を考えなくてはいなくてはいけません。こうしたひとりひとりのニーズに応えるために考えることがスマート農業なのです。

スマート農業では、ハウスの中に機械を置いて温度、湿度、CO2濃度、日射などを計測しますが、計測することはスタートであって、スマート農業の完了ではありません。測った割合を自分のお金として戻さないといけないわけです。例えば、5連棟の施設を持っていたとします。棟高4m、軒高2mだと面積972㎡、体積2916㎥、そこに空気が詰まっていて、その空気の重さは3.8tになります。つまり、温室という構造体の中に3.8tの空気を所有していることになるのです。重さでいえば2.93kg所有しているということです。これで植物が光合成をすると180gの糖ができるので、1kgのCO2で光合成すると680gの糖ができる計算になるわけです。例として出した温室では全部で2kgの糖になります。植物がCO2を吸うために生産者さんはボンベなどで供給するわけですが、それを買うと1kgいくらになるかを考えます。例えば、CO2をいくら分入れたらいくら分を植物に吸われたか、それがわかると、損か得かがわかってくるんです。こういうふうに、わかる農業を提供することがスマート農業には大事です。

そのためにはソフトウェアが大事です。機械を入れて測っただけではこれはなかなかわかりません。研究者が求める方向性と生産者が求める方向性のズレによって「農学栄えて農業滅びる」といったことも起こっています。私は、そうした溝をスマート農業によって埋めることができれば研究者による研究の成果を生産現場で活用できるのではと期待しています。最近では、機械やドローン、制御装置などを導入しないといけないと思っている方も多いかもしれませんね。でもそれはハードウェアの話であって、それだけを入れてもソフトウェアがないと何も変わりません。逆にいえば、100円ショップで温湿度計を買ってきて、温室内のデータを計測して細かくメモして計算したほうが、収益がプラスになるかもしれません。スマート農業ってそういうことじゃないかなと思うのです。機械を導入することばかりを考えてしまうと、20年前とあまり変わらない、ということになってしまいます。

施設園芸は斜陽の時刻

残念ながら、日本の施設園芸は斜陽の時刻です。そんななかで私が思うのは、“競争”より“供創”です。そのためにはプラットフォームが重要です。右肩上がりの時代には、企業もにこにこしながら殴り合いするような商売をしてもうまくいきましたが、今はそんなことではマーケットが縮んでしまうので、共存共栄、みんなで創っていくことが大事です。今は次世代施設園芸などが広まっていて、それもひとつの方向だとは思うのですが、いってみれば重厚長大なシステムです。実は、情報化というのはそれとは逆に対してうまく動くところがあります。

日本の人口は、2004年12月がピークで1億2784万人、高齢化率が約2割、5人に1人が65歳以上です。これまで人口はずっと増えてきましたが、これからジェットコースターのように落ちていきます。こうした人口推移は、GDP伸び率、労働力、年金医療費などに大きな問題が起きています。同じように、施設園芸も1999年にピークを迎えましたが今は衰退して、さらに下がっていくのではないかと私は考えています。

昔の日本の施設園芸は世界一といわれていましたが、今は日中韓では最下位になっています。今後も増えていくことは考えにくく、限られた面積のなかでどうやっていくかが重要です。日本の政府は、オランダの施設園芸を見習えといいますが、日本がそういう将来を目指していくのはちょっと疑問に思っています。日本のトマト生産を例にすると、これまでいろいろなことをやってきましたが、生産量は頭打ちです。収量も増えていません。人口も需要も減っているのに、オランダのような大規模な施設園芸を目指すことが果たして持続可能な農業といえるでしょうか? 日本はこれまで施設園芸の主力は中小規模で、多棟・離散でしたが、どうしてこのままの形で生産を上げるという選択肢がないのでしょうか。莫大な設備投資で借金を背負わせて、そこにICTやスマート農業をくっつけて、労務管理されて、でも所得は変わらない。今の労働問題にも似ていますよね。これははたして生産者の幸せに結びつくでしょうか?

そういうなかで、スマート農業が流行っている理由は何かというと、センサーが安くなったからです。それは何を変えていくかというと、重厚長大だったものが軽薄短小といったダウンサイジングになります。また、集団から個別、これはユビキタス化やIoTともいわれ、個々に分散するということです。さらに、「売り上げの8割は2割が生み出している」というパレートの法則が終焉し、ロングテール効果に変わります。もうひとつは、賃金低下でコンピュータとの仕事の奪い合いです。こういったことを花き産業にどうフィットさせるかが腕の見せ所ではないでしょうか。

今までのコンピューティングは、大規模と小規模の住み分けをしてきました。しかし今の施設園芸は大規模が小規模を凌駕するといわれ、大規模化が必要だといわれています。でも私は、その逆がこれからのICTを使った流れではないかと思っています。

そのためのポイントは次の3つになります。

  • 参入、競争、選択の自由化を促進するプラットフォームの導入。
  • 実際の植物生産を支える各地の中小規模施設生産者の持続性を高め、地域活性化を図る。
  • 自分で組立、修理できるようにハウスや環境制御システムのDIYを目指す。

花き施設園芸でのICT活用のチャンス

日本の温室の歴史をご紹介しましょう。江戸時代の温室は、「享楽実現装置」でした。要するに、金や権力を確認、広報したい、常春(ユートピア)を夢見たい、珍しいものを見て元気をもらいたい、季節を先取りして優越感を得たい。つまり、人よりちょっとプチ贅沢したいなあというくらいの道具で、温室栽培の主役は花きだったと思います。

それが、1945年にアメリカ軍の命令により、2.16haの施設園芸を作ることになりました。アメリカ軍関係者はサラダを食べますから、そのための施設だったと思われ、これが近代施設園芸の出発点となりました。生鮮野菜を大量安定供給して国民に健康を、といったスローガンも生まれました。かつては享楽の道具だった温室が、いつのまにかストイックの皮をかぶった享楽の食と農に変わったということです。私は、1945年が施設花きの主役脱落の発芽だったと思います。

花き園芸産業のICT導入のヒントになる特徴は、まず、花は生活必需品ではなく景気に敏感ということです。花は心の栄養だといいますが、もっとステータス確認ツールとしたほうが実際的ではないでしょうか。“やっと花を買えるようになった”とか、“勝ち組には花を”とか、そうなっていいのではないかと思います。生活必需品ではないため、景気が悪くなると真っ先に切られるものですから需要を伸ばしていく必要があるでしょう。また、生産施設のICT化率は野菜の2倍ありますから、生産性向上ツールとしてのモチベーションは野菜の半分くらいになります。ですから、花き産業にICTを入れるなら生産と連携したマーケティングツールとしての活用がいいのではないでしょうか。

花きは野菜と比べると量より種類が多いので、どこにどれだけ花が売れたかの情報が鍵です。需要と供給を結びつけるブローカの存在が大切でしょう。

切り花の得意先は高齢者で、統計では年間1万円以上使っています。なので、これを伸ばしていくサービスを提供してはいかがでしょうか。もっと買ってもらう、買いやすくなる、そういうしくみをつくるといいですね。

若年層では、最近は女性が鉢物をアクセサリーのように買います。多肉植物など雑誌でも特集が組まれたりしていますが、宝石などのようにブランド化してアクセサリーのように売ったら化けるのではないでしょうか。

また、ゲーム機などの販売戦略と同様に、無計画に供給量を増やさないほうがいいと思いますし、箱庭的オーダーメイドの花として売っても人気が出るのではないでしょうか。

ICT化によって情報流が分離できることもポイントです。情報流には上り方向と下り方向があって、どういうことかというと、自分が出荷した花がどこまで行ってどういうふうに消費されたかがわかるシステムを作るとマーケティングもやりやすくなる、ということです。生産、流通、消費に関する情報を記載したコード体系の拡張や、スキーマの制定が必要な時期になっているのではないでしょうか。

「花ソムリエシステム」も提案したいと思います。野菜の場合、八百屋さんと大規模小売りがあって、大規模小売りで間に合ってしまって八百屋さんあまり残っていません。花の場合は、大規模小売りでも売っていますよね。ああいう小売りのスキルと芸術家のスキルを埋めるようなシステムや、AI、感性工学などを活用したシステムも構築してはどうでしょう。また、どこでどんな花きが植え付けられて、いつ出荷予定かといったデータベースシステムの全国的統合も必要でしょう。

そして流行需要に生産が後追いするのではなく、生産見込みを確保してから広報する服飾品と同じようなメカニズムによるトレンド醸成システムが、花きでも実現できるのではないかと思います。

最後に皆さんに問題提起をしたいのは、スマート農業は「重厚長大の“野暮”から、“粋”な生産を目指すべき」ということです。花きは江戸時代に発達していたとても粋な文化です。多大な設備投資、大規模化によって商売が大きくなっても、労働時間単価が変わらないのは幸せといえるでしょうか。スマート農業によって単収が上がるといった目先の利益ではなく、持続性や地域活性化、日本の将来に向けて夢を持てるような共有、共創といったビジョンを打ち出すことが大事なのだと思います。

 

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(小見出し+名前)

スイートピー栽培におけるICT活用と生産情報活用の可能性〜新規参入生産者の手作りシステム〜

木下良一氏(木下園芸 代表)

栽培施設の概要

私は岡山県倉敷市船穂町でスイートピーの専業農家をしています。ハウスでの栽培記録を残したいという思いとともに2000年に就農しました。その頃にはまだ環境制御の話は聞かれなかったのですが、東京の展示会のあるブースで自分の希望を伝えて見積を出してもらったところ、1500万円でした。これは私には難しい額でしたので、農業、電気、機械ともに素人ではありましたがハウスを自作しようと考えました。

倉敷市船穂町は丘陵地で農地確保が難しいのですが、南向きで湿気がこもりにくい特性を活かして品質の高い農産物生産を行っています。こうした限られた面積のなかで収益を上げること、スイートピーを安定的に出荷することを目標に掲げて、ハウスの自作やICT、IoTの導入に取り組むことになりました。ICT、IoTは大変に有効な手段ですが、これが目的ではなく、栽培が目的であることをはっきりさせておくことが大切だと思っています。

スイートピーは、アクセル(栄養生長)とブレーキ(生殖生長)を調整しながらの管理が重要で、従来は日照量が重要であるといわれていましたが、品質を決めるのは適切な日射、温度、湿度だと考えています。播種時期は9月上旬、出荷期間は11〜4月上旬、栽培方法は点滴チューブによる溶液で土耕栽培となります。2018年作では7品種を植え付けしました。

ハウスの栽培環境は、昼間は加温することなく20℃を上限にし、夜間は5℃で管理しています。スイートピーは低温で栽培する作物で、冬場に出荷するので病害虫の被害はほとんどなく、上手に管理すれば農薬の散布はしなくて済みます。しかし、ハウスでの栽培にも関わらず冬場の外の環境につれてしまうというデメリットもあります。

栽培面積は25a、30連棟のパイプハウスで自家建設しています。環境制御システムと炭酸ガス発生装置を自作し、その他、重油の加温機、ヒートポンプなどを設置しています。

当園の環境制御システム

ハウス内のセンサーでは、風向風速、感雨、日射、炭酸ガス濃度、温湿度、分光分析、土壌水分、土壌温度、EC、各設備の電力などを計測しています。データを取り込んでハウス内の各設備、機器の自動制御とその記録を行って栽培環境を管理しています。

センサーのデータはPLCという機械にマイコンをつないで取り込んでいます。そして、インターネットにつないで自宅のパソコンやスマートホンでの監視、コントロールができるようにしています。

こうした方法でハウス内のモニタリングと制御、自動化をしていますが、もっとも重視したいのは、センサーで計測したデータをパソコンに残すことです。そして、私の仕事はハウスの環境を作ることではなく、作物を作ることなので、視覚、聴覚、嗅覚、触覚を駆使しながらの圃場観察と生育調査も重要だと考えています。

パソコン画面で表示されるのは、センサーの計測値や設備稼働状況の他、それをUECS-GEARという通信システムによってグラフ化したもの、南の空を定点観測した写真、積算日射量などです。

また、生育状況を定点観測して撮影し、生育調査の結果と映像を比較しています。

このように、各種センサー値、電気代、出荷率、秀品率、他産地情報、市況などの情報を集積し、それを分析評価して、実行と成果の標準化につなげることが重要ではないでしょうか。

取り組み課題と事例

私の取り組み課題を2つご紹介します。1つは、大幅な出荷減の要因を検証することです。

スイートピーは3日曇るとつぼみが落ちて出荷に影響します。近年ではこれまでとは異なった様子の落蕾も発生しています。その原因は何なのかを作業日報、出荷数量、等級比率、肥培管理、栽培管理などを分析し、過去のデータと比較しながら探りました。すると、一定の条件下ではヒートポンプの活用が効果的であることがわかりました。こうして、頻発する激しい気象変動による新型落蕾の大幅な出荷減リスク予測ができるようになりました。

もう1つの課題は、日々の出荷数量の予測モデルの検討です。スイートピーは低温作物なので、施設栽培であっても気象の影響が大きく出荷数量が変動してしまいます。そのために、2日前に出荷数量情報を提供できるようになれば、有利販売、数量保障につながる、そういった可能性があると考えています。

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島根発!「あい・しぃ・てぃ」で独自花きの売り上げUP

曽田 寿博氏(曽田園芸 農場長)

島根の鉢花生産

私は、島根県出雲市で鉢花生産をしております。島根県の鉢花生産は昭和35年頃より始まり、西日本有数の産地となりました。しかし、鉢花の価格下落などで将来的には不安があり、それを払拭するべく島根県ではアジサイに着目し、オリジナルアジサイの育種に着手しました。それとともに島根県アジサイ研究会も設立しました。

私の農場では、クリスマスローズの栽培もしています。クリスマスローズは冬に咲く花で、夏の高温に弱いため6月〜9月下旬は高冷地で栽培する「山上げ栽培」を行います。これにより、ロスの軽減、早期開花が可能になります。

しかし、山上げ栽培は輸送費、管理交通費、借地代などのコストがかかります。そこで、コスト削減のために「遠隔管理・監視システム」を導入しようと検討しました。

しかし、平成24年頃の遠隔管理システムは、某大手企業では1000万円以上、農業ベンチャーでも数10万円以上かかり、高価で手が出ませんでした。また、故障した時にすぐに島根まで修理に来てくれるのかという疑問もあり、自分で作ることにしました。

自作の遠隔管理システムの開発コンセプトは、比較的安価であること、簡単で自分でできること、水が出せること、状況を確認できること、パソコンがなくてもできること、としました。

そこで使ったのが小型のパソコンともいえる「スマートフォン」です。スマートフォンには各種センサーがついています。GPS、カメラ、インターネット、ジャイロ、照度センサー、マイク、スピーカーなどです。これによって、ゲーム、カーナビ、ビデオ、録音、ライトなど様々なことができます。アプリを入れるだけで無料でこういった機能が使えるのですから、非常に多機能で拡張性の高いものだと思います。ネット通販もでき、スマホがあればAmazonで何でも買えます。

ハウスをどうやって見る?

私はネットワークIPカメラを使いました。これにより、パソコンやスマホで世界中のどこからでも視聴と操作ができます。これを使って6900円で試作一号機を作りました。6000円の監視カメラの前に900円の温度計を置いて、植物の映像と温度が同時に見られるようにしたのです。

この方法とセンサーで測る方法は、私はあまり変わらないと思っています。実用面ではこちらのほうが劣っているのでしょうけれど、私としては温度と環境が見られればいいので、これで充分だと判断しました。

このカメラは、パソコンなしでインターネットにつなぐことができ、設定も簡単です。これによって温度だけでなく、遮光カーテンが開いているのか閉まっているのかといったハウスの状況など様々な情報を見ることができます。数値による情報も大切なのですが、植物体を見る、観察するといった行為自体が重要だと私は思っています。

試作二号機では、カメラの首振り装置を使ってスイッチを動かし、ポンプを作動させ水を出すことに成功しました。制作費は23000円でした。しかし、1年くらい使い続けたら壊れてしまいお蔵入りです。

次に、試作一号機にリモートスイッチをつけました。リモートスイッチというのは、遠隔操作で100Vの電源をオンオフする機械です。タイマー機能もあってスマホから散水の時間を予約することができるアイテムです。これは13000円で完成しました。

環境測定はAmazonで20000円で買ったnetatomo(ネットアトモ)という装置を使いました。親機で気温,湿度、騒音、気圧、CO2を測定し、屋外用モジュールで気温、湿度、防滴を見ることができます。これは電池駆動ですので、1つのハウスの中に5台くらい置いて、暖房機を回して暖房ムラがどれだけできるのかを計測してみました。

このnetatomoは数値をグラフ化でき、エクセル形式でパソコンに取り込むことができます。また、設定した温度以下になるとスマホに通知されるので、もしもの時のリスク回避に有効でした。雨量計もついているのですが、私は雨の量を測るのではなく、スプリンクラーの散水量の計測に使っています。

費用対効果

これらのシステムを実際に使ってみてどれだけの差が出たかをご説明します。

金額でいいますと、遠隔システムを使う前と後では10万円くらいの差が出ました。遠隔操作を導入する前は、山上げしたハウスまでの交通費と人件費が20万円近くかかりました。導入後は、機械が止まった時の確認のみでハウスに行っていましたので、システムの費用を差し引いても非常に安く済みました。その翌年には、山上げする農場が近くなって高速代が安くなったこともあるので単純に比較はできませんが、当初の10分の1の費用になりました。

また、こうした経費削減だけでなく、遠隔システムの導入によって時間も大幅に節約できました。導入前と後では95時間の差です。私は農場を経営するとともに主要労働力でもあるので、時間を有効に活用できるということで栽培、販路の拡大、新しい栽培の模索などができ、非常にメリットがあると感じています。

遠隔リレー潅水システム

現在のハウスはどういう状況かというと、ソーラーパネルの中にモバイルルーターとnetatomoが入っていて、カメラで植物体を監視しています。そして、ポンプとリモートスイッチで水が出るシステムを作りました。

従来の潅水制御ですと、高価な制御基板や各種センサー、電磁弁、ポンプ、後付けインターネットも設置しなければなりませんでした。そのため、電気工事士などの資格も必要です。でも、私がやっていることは、1つ1つのアイテムが機能を有して完結していて、すべてインターネットを経由してスマホにつながり、操作したり視聴したりが可能です。そして、壊れてもその原因が明確にわかります。従来のシステムでは、どこが壊れたのかがわからないし、電気工事士の資格もないので修理を頼むしか方法がありません。でも、私のシステムなら電気工事士の資格はいらないし、好きな形につなげることができるのです。

このような監視システムに、どうやって栽培をすり合わせるのかに私は苦心してきました。例えば、シクラメン農家はスプリンクラーでの散水は病気のもとになるのでしません。鉢の乾き具合を見ながら、手で水やりをしています。これは根の生長や徒長の防止になります。また、手潅水を極めると生長をコントロールすることができます。ですが、非常に高度な技術が必要なことと、労力がかかります。

これに対し、スプリンクラーですとばっと水をかけられるので便利です。しかし、実際には潅水ムラが発生します。それを防ぐには多めにかけるのですが、今度は根腐れを起こしたりします。こうしたスプリンクラー潅水の欠点を補う栽培方法を見つけるために、乾きやすい用土にしました。乾きやすいと水枯れが起きやすく商品性を落としてしまうので、ある程度の保水性がありながら通気、排水がいい用土にしました。そのために、ポットは縦に溝があるスリットポットにしています。またトレーを地面から浮かせて乾きやすくし、散水量をチェックして並べ方の調整もしています。

用土は鹿沼土を使っています。鹿沼土は乾くと白くなるので監視カメラで見るととてもわかりやすいのです。

最後に、こういったシステムでの肝心なことは、システムと栽培方法、栽培技術をフィッティングさせることだと思います。その上で、よりよい生産と製品を目指すことが我々生産者の使命ではないでしょうか。

 

 

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