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梅仕事と夏支度

公開日:2020.6.9

こんにちは、づみたんです。

いつのまにか、もう6月。

日々の生活では、まもなく訪れる夏の支度をしながら、編集部は秋号の準備も同時にスタート。毎号のことではあるのですが、今年もすでに折り返し地点にいると思うと何だか不思議な気持ちですね。

 

さて、そんな本日は「梅仕事」のお話でも。

今年は在宅勤務や自粛生活の影響か、家仕事が捗ります。

というか0から1を生む作業をしていないと落ち着かない性分なのかもしれません。1を10にすることが苦手ゆえ、普段よりも一層手を動かしている気がします。

例年以上に家事熱高まる初夏、ということも相まって、私は人生で初めて自家製梅酒をつくることにしました。

ということで、早速下記の材料と分量を用意して梅酒づくりに挑戦です。

  • ウメ  1㎏
  • 氷砂糖 1㎏
  • ホワイトリカー 1.8㎏
  • 広口ビン 2ℓ×2
使用するウメは「南高梅」発祥の地、和歌山県みなべ町の南高梅。手に持つだけでふわりとあまい、よい香りがします。一つひとつ緑色や黄色や紅色のグラデーションに色づいていて本当に綺麗です。

南高梅の花は白色一重で、果実の大きさは、大粒で平均25g~35g。皮が柔らかく、果肉が厚いのが特徴です。果実の色は緑色ですが、完熟に近づくにつれ黄色味を増して、日光の当たる所は鮮やかな紅色に染まっていきます。

南高梅のルーツは明治35年に始まります。

晩稲に住む高田貞楠は、自分の所有する桑畑を梅畑にしようと考え、近所の勇惣佐七から「内中梅」の実生苗60本を購入して、約30aの畑に植えました。

そのなかにひときわ大粒で豊かに実る美しい優良種を発見。貞楠はこれを母樹として大切に育て、「高田梅」の基礎をつくりました。

その後、昭和6年に農業経営の将来を梅に託した小山貞一は、高田貞楠が育てた門外不出の「高田梅」の原木から60本の穂木を譲り受けました。貞一は、苦労を重ねつつ栽培を続け「高田梅」を継承しました。

その後、梅優良母樹調査選定委員会の発足や、度重なる審査会で優良品種の選抜を行った結果、昭和29年に「白玉」「養青」「古城」「改良内田」「高田」「地蔵」「薬師」の7系統が選抜されました。なかでも、「高田梅」は、最も風土に適した最優良品種との評価を受けたそうです。

そして、「梅優良母樹調査選定委員会」の委員長を務めていた竹中勝太郎は、地道な調査研究に協力してくれた南部高校園芸科の生徒と高田梅から「南部高校」と「高田」の名をとり、最優良品種に選ばれた『高田梅』を、『南高梅』と命名。

現在では、県の奨励品種、国の農林種苗登録品種にも選ばれる『南高梅』が誕生した、という歴史が紡がれています。

どのような品目でもそうですが、毎日口にしている様々なおいしい品種の一つひとつに、品種が生まれるまでのドラマがあり、それらを知るたびに“考えるきっかけ”として「農耕と園藝」に携われてよかったなぁと感じるのです。そしてこれからも、みなさまに栽培の歴史や背景、技術や情報をお伝えできればと思います。

 

さて、肝心の梅酒づくりですが…

1 .梅を水洗いして軽く水気をふき取ります。
2 .広口ビンにウメ・氷砂糖を交互に入れて
3.ホワイトリカーをゆっくりと注ぎ、完成です。

保存は冷暗所で行い、時々ビンを動かして氷砂糖を溶かします。約3ヶ月後の秋口には飲み頃を迎えているはず…!

梅酒はつくってみるととっても簡単で(洗って注いで待つだけなので)、なんてことのない作業ですが(でも「こ、これでいいのかな…?」「…こんな風で大丈夫なのかな?」と、悩む)、

特有のよい芳香に包まれながら個性ある色味の濃淡を眺めていると、なんだか贅沢な時間だと思いました。

熟成期間をじっくりと待つのもまた、愉しみです。

 

それでは、また次回お会いしましょう!

編集部のづみたんでした。

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