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春化

公開日:2020.6.4 更新日: 2021.4.26

芽の動き始めた種子や、ある程度の大きさに生長した植物体が低温を経験することで、花芽の形成が始まる現象を「春化」と言う。

花芽の形成を抑制した状態にある植物が低温を経験することで、その抑制が徐々に解除され、その後に光周期の長日条件に反応して花芽形成が起こると考えられる。
春化で花芽形成する植物は光周期に反応する長日植物である、とも言える。

花芽形成を促進する目的で吸水させた種子や芽生えを、人工的に長期間の低温にさらすことを「春化処理」と言う。

春化に感応する部位は細胞分裂を行っている頂端分裂組織であり、吸水して胚が動き出した種子段階で感応する種子春化と、芽生えになってから感応する植物体春化の2種類がある。
貯蔵葉を持つ球根類の春化は後者に属する。

春化に有効な温度範囲は、おおよそ−5℃〜+15℃にあり、最も効果が高いのは3〜8℃である。
種子春化処理は暗黒下で行うので、胚軸の伸長が小さい1〜3℃が実用的な処理温度である。
球根類では5〜10℃の範囲が多い。

開花のために春化を必要とする植物の多くは温帯に生育する。
種子春化する植物の例にはダイコン、カブ、ハクサイ、ツケナ類やスターチス・シヌアータ、スイートピーなどがあり、
植物体春化ではゴボウ、ニンジン、キャベツ類、セロリ、ネギ、タマネギ、ニンニクやミヤコワスレ、リンドウ、ユリ類、ダッチアイリスなどがある。

 

『農耕と園藝』2012年1月号より転載

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