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自家採種

公開日:2020.7.16

生産者が、栽培した作物から次の作付けに必要な種子を自前でタネ採りすることを自家採種と言う。

タネ採りが産業になった採種業では、商業採種となり、タネは市販種子として流通する。その多くが一代雑種となり、自家採種するとその種子は雑種第二代になるので、メンデルの法則により形質が分離して、親と同じ形質を示さない。

自家採種で親と同じ形質が得られるのは在来品種や固定品種からであり、同じ形質が伝わるように、農家が栽培しながら、タネの採り方を代々伝えてきた品種である。この中には自家受精を行う自殖性作物と他家受精を行う他殖性作物があり、前者では他品種との交雑により品種の均一性が失われる品種の退化問題はほとんどない。

しかし、すべての花が自殖を行う例はまれであり、採種種子中の他殖種子の混入率が4%以下までは自殖性作物なので、不断の選抜が大切である。後者の他殖性作物では、その品種を維持するには他品種との交雑を避けて種子を生産する必要がある。採種圃場の近くに同種の異品種や異株が生育していると簡単に交雑するので、本来の特性を持つ品種の維持が困難になる。

したがってその品種の採種に際しては、花粉流動を防ぐために他集団と十分な隔離を図る。露地での集団間の隔離距離は数kmであるが、林などの遮蔽物に囲まれるなら数百mでよい。少量採種なら施設と植物体への袋や網掛けと人工交配とを組み合わせて行う。

 

『農耕と園藝』2012年7月号より転載

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