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育種家の遊歩道

づみたん
公開日:2020.7.10

こんにちは、づみたんです。

なかなか梅雨明けしない日々が続いていますね。そんなじめじめと過ごす毎日も、雨上がりの澄み渡った空や、梅雨時期の主役「アジサイ」が凛と佇む姿を眺めれば、四季の彩だと思えるから不思議です。

自然は常に厳しいですが、私たちは自然と共に生きています。

ということで! 本日は「アジサイ」のお話でも。

今年の春は新型コロナウイルスの影響もあり、思うように桜の季節を楽しめなかったので、状況が好転したとは言えないこの時期も、6月のアジサイを観に行くのはあきらめようと思っていました。

そんなとき、東京都練馬区にある遊園地「としまえん」が今年の8月31日をもって閉園するというニュースが飛び込んできました。

としまえんと言えば、1926年に開園。西武鉄道が所有し、100年近い年月を大人から子供まで、多くの人に愛され親しまれてきたあの場所です。

2010年に「機械遺産」に認定されたメリーゴーラウンド「カルーセルエルドラド」をはじめ、多くのファンが残念がる遊具の数々。苦境の遊園地が下す経営判断としては、致し方ないのかもしれません。…しかし、「閉園」のたった二文字があまりにも悲しいです。

今後、閉園後の跡地には某ハリー・ポッターのテーマパークと都立公園の運営が予定されているそうです。

さて、遊園地はもちろんですが、私が心揺れてしまったのは……

そう、としまえんの一角にある「あじさい園」です。

この「あじさい園」では、毎年6月に「あじさい祭り」が開催され、約150種類・10,000株のアジサイが見られるということもあり、この時期屈指の人気スポットとして多くの花見客で賑わっていました。

東ゲート入園口付近に広がるアジサイには、「園芸アジサイ」、「ヤマアジサイ」、「つる性アジサイ」などなど、訪れる人々を魅了する花々が溢れます。

私は今年最後となる「あじさい園」を見収めるべく、家を後にしました。

紫外線と果敢に格闘しながら自転車で走ること30分。目的地、としまえんへ到着です。
この日は梅雨時期とは思えないほど晴れた週末。気温も大幅に上昇し、1年を通してそう何日もないのではないかと思えるような気持ちのよい日和でした。
ノビーも言っていましたが、今年はお花見が楽しめなかったせいか、アジサイへの人出が若干多いように感じました。可能な限り密を避けようと、朝早くに家を出てきて大正解です。

それでは、早速「あじさい園」を散策してみたいと思います…!

【ガクアジサイ】花火アジサイ(産地/神奈川県)

両性花は白または薄青、装飾花は白いガク先で八重の花。花柄が長く花火を思わせます。「墨田の花火」とも言うそう。

【ガクアジサイ】蜜柑葉アジサイ(産地/伊豆大島)

青いガク咲きの花。花柄は長く、ガク片に鋸葉があります。葉がミカンの花を思わせることから名づけられました。

あじさい園のなかほどにある「育種家の遊歩道」。こちらでは国際園芸博覧会で金賞を受賞した著名な育種家の方々の品種が揃えられています。

今回はいくつかの品種をご紹介します。

やたべさんのあじさいに、
さかもとさんのあじさい。
「あじさいは好きです。梅雨が楽しみになりますから」………えびはらさん、私もです…! このほかにも、たくさんの育種家の方々の品種を見ることができました。

早速、育種家の方々が生涯をかけて向き合ったアジサイたちを少しだけご紹介します。

【園芸アジサイ】ジャパーニュ ミカコ

紫ピンク色で半テマリ先の花。坂本正次氏が平成15年に育苗登録しています。オランダ世界園芸博覧会2002年金賞受賞。

【園芸アジサイ】フラウノブコ(来歴/海老原氏の育成品種)

海老原園芸が誇るフラウシリーズの一種。青い地に覆輪の白色が彩るコントラストがなんとも美しい品種です。

【園芸アジサイ】ユングフラウ ディープピンク(来歴/坂本氏の育成品種)

鮮紫ピンクのガク咲きの花。坂本正次氏が平成15年に種苗登録をしています。「メリット シュープリーム」の自然交雑実生より育成されました。

【園芸アジサイ】フェアリーアイ(来歴/坂本氏の育成品種)

紫赤のガク咲きの八重花。坂本正次氏が平成20年に種苗登録をしています。吸い込まれそうな青色です。

【園芸アジサイ】エンドレスサマー

四季咲きと言われアメリカから日本に輸入された品種。日本では、としまえんで初めて植栽されました。
エンドレスサマーは、夏の熱帯夜が続く所では四季咲きになりにくいですが、丈夫で花持ちのよい性質を持っています。
輸入品種と言えば、生花店などでも馴染みのある「アナベル」の姿も。
花付きがよく育てやすいアナベルが咲き乱れる「白い小径」。北アメリカ原産の品種であるアナベルは、雪のように白い可憐な姿が魅力的ですね。

さて、白い小径を抜けると、ここからはヤマアジサイの世界です。

何とも味のある文字で書かれた「山あじさいの小径」。

【ヤマアジサイ】藍姫(産地/四国)

装飾花は濃い群青か濃い紫。一種のガク咲きで、濃色が特徴の品種です。
アジサイには様々な青色がありますが、こちらも画材では到底表現できないような目を引く青色です。

【ヤマアジサイ】伊予テマリ(産地/愛媛県)

濃い桃色で大輪のテマリ咲きの花です。
色付くのはもう少し先かもしれません。

【ヤマアジサイ】天城甘茶(産地/静岡県 伊豆半島天城岬)

花の色と装飾花は白色。葉が細身であるところに特徴があります。
名の由来は伊豆半島の山には、古くからこの地方に住む人が甘木と呼んでいた木があり、この甘木が多く自生する山を天城山と呼んだことから命名されました。

【ヤマアジサイ】楊貴妃(産地/九州)

濃いめの虹色系のガク咲き。装飾花は一重の丸弁です。

【ヤマアジサイ】日向の紅子持(産地/宮崎県)

花色は桃色で咲き進むにつれて赤味が強くなります。装飾花はガク片が重なって咲き、先がやや尖り鋸歯があります。

【ヤマアジサイ】紅でまり(産地/愛媛県)

白で咲き出し、その後紅色が入ってくるてまり先の花。比較的大型のヤマアジサイです。
群生している様子を見ると紅や白色のやさしい濃淡が鮮やかで、つい足を止めてしまいます。

【ヤマアジサイ】紫紅梅(産地/徳島県)

装飾花は丸弁で花色がアプリコットのような色から紅珊瑚色、紫色へと微妙な色彩で移り変わります。葉は小さめで全体的に小ぶりです。

【ヤマアジサイ】三河千鳥(産地/静岡県)

両性花のガク片が発達し、てまり状となる群青色のガクアジサイ系品種。西洋アジサイを思わせる美しい花姿で、咲き進むとガク弁が下がり華やかさが増します。

【ヤマアジサイ】横浪の月(産地/高知県)

横浪の月は「土佐織姫」とも呼ばれる品種。縁のガクの上に青い両性花が美しく映えます。
本来であればもう少し青色に染まるかもしれませんが、土壌のアルカリ性が強く少しだけ赤味が混じったこの何とも言えないグラデーションが見事です。ヤマアジサイのなかでも、特別心惹かれた「横浪の月」。閉園したあと、このアジサイたちは何処へ行ってしまうのでしょうか。

今回は約80種ともいわれるとしまえんのヤマアジサイから9品種をご紹介しました。

こんなにたくさんのヤマアジサイが咲く景色を一度に見られる初夏は、しばらく訪れないかもしれません。最後のあじさい園を惜しみながらも、私はこの地を後にしました。

としまえん閉園まであと一ヵ月半。お伝えできる限りでお届けしましたが、機会がある方はぜひ足を運んでみて下さい。早朝がオススメです!

また、下記の #アジサイ に関する記事もぜひ覗いてみて下さいね♡

それでは、また次回お会いしましょう!

編集部のづみたんでした。

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