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カルチべ取材班 現場参上

カルチべ取材班、野菜・花き種苗改善審査会へゆく⑧「ベゴニアの部」を知りたい!

公開日:2020.10.1 更新日: 2020.10.26

本日のカルチベ取材班は、本誌『農耕と園藝』でもおなじみ、東京都種苗会主催、「野菜・花き種苗改善審査会」に参加するため、東京都農林総合研究センターに現場参上しました!

今回も、歴史ある会の模様をお伝えするべく、審査の様子や取り組みなどを中心にお届けします。

ベゴニアの生育経過

今回そんな審査会の対象品目となるのは「ベゴニア」。

昔からなじみ深い、古き良き品目ですね。

出品点数は出品点数15点(他、番外4点)。詳しい栽培概要は、以下の通りです。

鉢上げ

令和2年3月10日、各社から送られてきた種子をセル培土(TM2)を充填した288穴セルトレイに播種し、覆土しました。

その後同年4月23日に3.5号黒ポリポットへ1本鉢上げしました。

鉢上げ用土は赤土:腐葉土:ピートモス=5:3:2(容積比)の混合用土とし、基肥は用土100ℓあたり、被覆複合肥料14-12-14(エコロング424-100タイプ)=300g、化成肥料6-40-6(マグアンプK中粒)=200g、過リン酸石灰0-17-0=250g(用土100ℓ当たり成分量でN=54g、P2O5=158g、K2O=54g)を予め施用しました。

栽培環境

栽培は、ガラスハウスで行いました。

ハウス内は、3月10日から4月23日までは発芽促進のため23℃で管理を行い、以降は無加温による温度管理(20℃で自動換気)とし、日中は高照度で50%遮光が掛かるように栽培を行いました。

潅水方法

5月22日まではハスロにて行い、以降は徒長しないよう控え気味に底面にて行いました。

追肥

5月14日、28日に液肥肥料(商品名:ハイポネックス、成分:N-P-K=20-20-20)2,000倍を各鉢100mlずつ施用しました。

病害虫防除

4月23日にアルバリン粒剤を各鉢1gずつ、5月19日にアフェットフロアブル2,000倍を散布にて施用しました。

その他

6月1日、審査会用配置に整列しました。

栽培期間中の天候・生育概要

天候概要

栽培前期は期間を通して高気圧に覆われ、日照時間、気温共に平年よりも高い日が多くありました。

中期は雨の日も多く、気温が平年よりも低い日が続きました。後期になると一時的には雨や曇りとなり気温の低い日もありましたが、概ね暖かい日が続きました。

生育の概要

苗の生育は概ね揃っており、期間を通して順調に生長しました。開花については、一部で揃いが遅く、審査会に咲き揃わないものもありました。

発芽試験

種苗読本(日本種苗協会編)の発芽試験基準に順じ、温度30℃/20℃(8/16h)、暗期12h/明期12hの環境下で行いました。

吸水紙の上に種子を置き、適宜潅水を行いながら、播種から10日後の発芽勢、21日後の発芽率について調べました。全ての品種で9割弱以上の発芽率が確認されました。

結果発表

さて、気になるベゴニアの部の審査結果が発表されました。

今回はご覧のとおりの結果となりました。

[審査成績表]

Ⅰ等 1位  スーパークール ブラッシュ(株式会社 ミヨシグループ)平均値 86.2/合計 1120

Ⅱ等 2位  スプリントプラス レッド(株式会社 ミヨシグループ)平均値 83.8/合計 1089

Ⅲ等 3位  スーパークール レッド(株式会社 ミヨシグループ)平均値 83.3/合計 1083

審査講評

東京都農業振興事務所 菊池正人氏

審査対象となったいずれの品種も、比較的美しく整い、非常に審査が難しいよく咲き揃った状態であったように思う。

今回の審査会で、このような古くから愛されている品目をテーマとすることが出来、よかったのではないか。

今後の各社の取り組みなどにも繋げていただけたらと思う。

脈々と引き継がれる栽培技術向上への取り組み

今回も、以上の結果と講評をもって、審査会は無事終了となりました。

各メーカーの方々が選りすぐりの品種を持ち寄り、行われる野菜・花き種苗改善審査会は、毎年こうして各品目の向上や栽培技術発展への手がかりとして、紡がれ続けています。

歴史ある定期的な審査会が、地域の野菜や花を支えてくれています。

また、今回の審査会の栽培管理や開催準備については、東京都農林総合研究センター 園芸技術科 花き研究チームの岡澤立夫氏、山本陽平氏がご担当されました。

東京都農林総合研究センターの岡澤立夫氏。

カルチべ連載「東京2020大会を夏花で彩る」でおなじみの岡澤氏ですが、本誌『農耕と園藝』冬号(2020年11月23日発売予定)より、花き研究の最先端をご紹介する新連載が始まりますよ。どうぞお楽しみに!

それでは、次回の「カルチベ取材班 現場参上」もぜひご覧ください!

 

 

 

協力/東京都農林総合研究センター立川本場
取材・文/編集部

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