HOME 読みもの なるほど園芸用語 戻し交配 なるほど園芸用語 戻し交配 育種野菜交配遺伝子 公開日:2020.8.27 更新日: 2021.4.26 交雑によって作り出した雑種後代(子供)に、両親の片方を交配することを戻し交配、または戻し交雑という。この片親は反復親と呼ばれる。ある生物の持つ特性を、その特性を持たせたい別の生物に付与するために行われる育種法である。 取り込みたい特性を持つ親は最初の交雑に使うので1回親と呼び、その特性を取り込ませたい親は交配に繰り返して使うので反復親と呼ぶ。 戻し交配を連続して行う場合には、特に反復ないし連続戻し交雑と言う。反復戻し交雑によって、反復親の有用遺伝子群を雑種後代に集積させ、ホモ接合体の状態に近づけることになる。 この育種法は、異種や近縁野生種から病害抵抗性遺伝子などを栽培種に導入する際に、また既存の雄性不稔性の細胞質を別品種に導入する際に用いられている。 さらにはF1雑種と劣性形質の遺伝子を持つ親とを戻し交雑し、次代の分離比から遺伝子構成を確認する検定交配にも応用されている。 前者の例を野菜で挙げると、キャベツの持つ軟腐病抵抗性をハクサイに導入、トマト属の野生種から根腐れ萎ちょう病およびモザイクウイルス抵抗性を導入したトマトのF1品種、根こぶ病抵抗性のカブを1回親として抵抗性を持つハクサイF1品種の育成などがある。 タマネギの雄性不稔では、細胞質雄性不稔性品種を母親とし、他の優良品種を反復親にして細胞質を取り換えることで優良品種の雄性不稔系を作る。 『農耕と園藝』2011年1月号より転載 この記事をシェア 関連記事 2023.3.20 挿し木の黄化処理 挿し木で発根不良な木本性植物において、挿し穂採取前に母本上で挿し穂の発根部に相当 […] 挿し木栽培発育黄化処理発育不良落葉樹発根促進常緑樹 2023.2.20 花飛ばし法 花芽の段階で高温などの処理で花芽に害を与え、開花させないで球根の分球を促す方法を […] 花芽花飛ばし法 2023.1.23 ぶくミカン(浮皮症) 温州ミカンの果肉と果皮の間に隙間ができて、果皮だけが浮いたようになったものをミカ […] ぶくミカン浮皮症発育