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種衣(仮種皮)

公開日:2020.9.3 更新日: 2021.5.21

種子の被覆物である種皮は胚珠のころの珠皮に由来するが、種皮をさらに覆うように珠柄や胎座が肥厚してできる構造があるとき、これを仮種皮または種衣と言う。

仮種皮は液質または肉質であるが、スイレン属のそれは膜質である。肉質の仮種皮が発達すると果肉となって果実を構成する。

アケビ果実の種子周りの白色ゼリー状物質や、ライチ(レイシ)ロンガンの液質な可食部、マンゴスチンドリアンの粘質な可食部は仮種皮である。

ニクズク(ナツメグ)の赤い仮種皮を乾燥させると香辛料のメースとなる。

ツルレイシ(ニガウリ)の完熟果実が破裂して現れる種子の赤色部も仮種皮であり甘味がある。

仮種皮を鳥などに餌として提供して、種子をふんとして排泄させることで種子散布に役立てている例には、ニシキギ科のニシキギ、ツルウメモドキ、マサキ、マユミなどの赤色種衣や、イチイ種子の茶碗型の赤色種衣がある。

種皮が肉質になり、仮種皮と同様な役割を果たす場合には、肉質種皮と呼ぶ。
ジャノヒゲ、ヤブラン、モクレン属 、ザクロ 、イチョウなどの種子に見られる。

膜質な仮種皮はオニバス、ヒツジグサ、コウホネなどの水生植物が産する。
仮種皮に包まれた種子は水面に浮上して漂い、種子の水散布に役立っている。
これは果肉の腐敗で発生したガスが、種子と仮種皮との間に溜まり仮種皮が浮袋になるからである。

 

『農耕と園藝』2011年2月号より転載

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