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石松子

公開日:2020.10.8 更新日: 2021.4.26

常緑シダ植物のヒカゲノカズラの胞子石松子と呼ぶ。

石松子は生薬の漢方薬として、皮膚のただれへの散布薬や外用薬ならびに記憶強化剤として利用されるほか、その比重と大きさが花粉に近いことから、人工受粉用の花粉増量剤に用いられる。

さらに石松子が湿気を吸収しない性質を利用して、丸薬の衣や線香花火の材料に加えたり、指紋採取の粉末法で用いる混合する淡黄色粉末として、また物性の測定用粉末として使用される。

人工受粉用の増量剤としての石松子は、受粉済みの花を識別するために赤色に染色したタルクを混合したものが使用されている。
果樹栽培で人工受粉を行う時期は、花が5分咲きと満開時とであり、2回以上は行う。

受粉作業はぼんてん(梵天)と呼ぶ綿棒および毛ばたきに花粉を付けて、開花した花のめしべに花粉を付けるか、花粉を花に吹き付ける花粉銃で行う。
花粉銃には手動と電動式があり、希釈花粉を入れる容器と駆動部とノズルとからなる。

使用する花粉は生花のものか、貯蔵花粉を利用する。
後者では寒天培地上で花粉を発芽させ、顕微鏡下で発芽率を調べ、花粉の希釈倍率を決定して石松子で希釈する。

花粉に対する石松子の比率は、リンゴでは花粉発芽率が80%以上なら4倍、70%で3倍、50%で2倍、40%で等量、30%では花粉のみであり、20%以下の花粉は使わない。
花粉はその日に使用する量だけを石松子と混合する。

 

『農耕と園藝』2006年1月号より転載

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