HOME 読みもの なるほど園芸用語 絵描き虫(潜葉性昆虫) なるほど園芸用語 絵描き虫(潜葉性昆虫) 防除病害虫 公開日:2020.11.26 幼虫が、葉などの柔組織や表皮組織に潜って食害し、表皮やその外壁を無傷で残す昆虫群を潜葉性昆虫といい、食害された痕は白い模様となり、曲りくねり、交差したりと複雑な模様を描くことから、エカキムシ(絵描き虫)とも呼ぶ。 食害は果実、茎、根、花に及ぶ。 エカキムシにはハエ類とガ類が多く、ほかに甲虫類、ハバチ類もいる。 ハエ類ではハモグリバエ(葉潜り蠅)、ガ類ではハモグリガとも呼ぶ。 食害された植物組織には透明な膜でできた天井のあるトンネルができ、これを潜孔という。 エカキムシは葉の表皮に穴をあけて、葉肉のなかに卵を産み、孵化した幼虫は、葉肉のうち上層の柵状組織、または下層の海綿状組織を食べすすみ、潜孔を作る。 成熟した幼虫は、葉の中で蛹になるか、葉を脱出して外で蛹になる。 作物害虫のハモグリバエは北方型種として、ムギクロハモグリバエ、イネハモグリバエ、キツネノボタンハモグリバエ、ムギスジハモグリバエ、ナモグリバエが、南方型種にネギハモグリバエ、ダイズクキモグリバエ、インゲンモグリバエ、マメハモグリバエ、ナスハモグリバエがある。 被害が大きいマメハモグリバエは外国からの侵入種で、多くの植物を加害する。 エカキムシの防除には寄生蜂を使う天敵農薬が有効で、蜂は葉の中にいるハエの幼虫を見つけて卵を産みつけ、孵化した蜂幼虫がエカキムシ幼虫を食べる。 天敵製剤はハモグリコマユバチとイサエアヒメコバチとの2種の寄生蜂成虫が混合されている。 『農耕と園藝』2006年8月号より転載 この記事をシェア 関連記事 2023.6.10 蒸散抑制剤 植物の体内の水が水蒸気として空気中に排出される現象を蒸散という。表皮細胞を通じて […] 栽培蒸散抑制剤 2023.5.27 トマトの尻腐病(しりくされびょう) トマト果実の花落ちの部分が水浸状となり多数の小黒点ができ、さらに進むとその部分が […] トマト土壌栽培尻腐病 2023.4.20 忌地(いやち) 同じ土地に同じ作物を繰り返し栽培したり、近縁の作物を連作すると収量が非常に減るこ […] 忌地原虫害アレロパシー