HOME 読みもの なるほど園芸用語 被覆資材の防曇性 なるほど園芸用語 被覆資材の防曇性 公開日:2020.12.3 被覆資材の表面に凝結して付着した水は、資材表面と水との間の界面張力が大きいと球状の水玉となるが、素材と水の間の界面張力が小さいと濡れ広がる。 この水玉を作らないで濡れ広がり、薄い水膜になって流れる性質を防曇性と言い、流滴性、無滴性、防滴性とも呼ぶ。 水玉の状態を保ち、濡れにくい資材の性質を疎水性、逆に濡れ広がるような資材の性質を親水性という。親水性が特に高い樹脂では、濡れ広がった水分子が樹脂中に取り込まれるが、このような性質は吸水性あるいは吸湿性という。 繊維資材のポリビニルアルコールは吸湿性である。ガラスは浸水性を示し、プラスチックフィルムは疎水性を示す。そこで後者では界面活性剤で処理して親水性にし、防曇性を付与する。この場合は界面活性剤をプラスチック基材に配合したり、フィルムに塗布する。界面活性剤の有効期間が数年と短いので、長期にわたって被覆展張する資材では、被覆内面に活性剤溶液を噴霧塗布する。 植物体が濡れた状態では病害の発生を助長し、濡れの原因には作物体への結露、屋根や保温カーテンの内面に付着した結露水の落下、温室内で発生したもやの付着、葉からの溢液(いつえき)がある。 結露水の落下およびもやの発生防止には、被覆資材の防曇性を高めることが有効である。多湿下で多発する病害としては、果実が罹病(りびょう)する灰色かび病が挙げられる。 『農耕と園藝』2006年9月号より転載 この記事をシェア 関連記事 2024.3.15 薬剤摘果 果樹栽培においては、着果過多になると隔年結果を引き起こしたり、果実の品質の低下を […] 果樹栽培薬剤摘果 2024.2.15 ハナヤサイの異常花蕾 ハナヤサイの花芽分化は、一定の大きさに生育した苗が一定の低温にあうと起こる性質が […] 花芽分化ボトニングリーフィー毛羽立ちライシーハナヤサイ 2024.1.15 ビターピット リンゴの生理障害のひとつで、果実の主として中央部分から下の方にかけて発生する褐変 […] リンゴビターピット生理障害