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モモ果実の軟肉性と硬肉性

公開日:2020.12.17

モモ果実の成熟にともない、果肉の軟化が起こるものを軟肉性、硬いままで軟化しないものを硬肉性という。
これまでの品種のほとんどが軟肉性であった。

軟肉性の果実は完熟したときの果肉の溶解性(果肉の溶けやすさ)から、溶質半溶質不溶質に分ける。
果肉が著しく軟化するタイプを溶質とし、果肉の軟化が少なく完熟でも弾力性のあるタイプを不溶質とし、両者の中間を半溶質とする。
生食用品種の多くが溶質であり、缶詰用として成立してきた品種の多くが不溶質である。

各溶解性に基準的な品種を当てはめると、
溶質:白鳳、川中島白桃、興津
半溶質:もちづき、ファーストゴールド
不溶質:錦、缶桃5号、タスカン
である。

軟肉性品種は収穫後にエチレン生成量が増大し、果肉硬度が急速に低下し、果肉の軟化とエチレン生成とが密接に関係している。

硬肉性品種には、おどろき、まなみ、有明(ゆんめい)、ワッサーなどがあり、硬い肉質からカリカリモモと呼ばれる。

硬肉性の果実は成熟しても、果肉内でエチレン生成が起こらないために果肉が軟化しない。しかし、外部から果実にエチレンを処理すれば軟化する。

なお、不溶質も軟化しにくい性質であるが、これは果肉の細胞壁をゆるくする酵素が発現しないために細胞の溶解性が抑えられているもので、エチレン生成が無いために軟化しない硬肉性とは性質が異なる。

 

『農耕と園藝』2006年11月号より転載

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