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スピードスプレーヤー

公開日:2021.1.21

エンジンを搭載して高性能な動力噴霧機と送風機を装備し、走行しながら薬液を噴霧する病害虫防除機械をスピードスプレーヤと言う。頭文字をとってSSとも言う。

SSは主に果樹園で使用する防除機で、散布対象となる果樹の仕立て法に応じて、棚作り用と立ち木用および兼用型の機種がある。これらはエンジンと送風機の性能、ポンプの吐出量、ノズルの孔径、配列などが異なる。走行形式は乗用トラクタマウント形、同牽引形、自走形がある。走行台車には3,4,6輪車があり、4輪駆動や4輪操舵の機能付きもある。

棚作り(ブドウ、ナシなど)での散布は、薬液を葉の表裏に付着させるため、棚面近くで対流が起こる範囲の風圧とする。ノズル穴径は0.6〜1.0㎜程度とし、小粒子にして散布幅を広げる。立ち木作り(モモ、カキ、リンゴ、カンキツなど)では、樹高が高いので樹全体に薬液がかかるように、大型の送風機と中央部のノズルを2.0㎜前後の大孔径にする。また散布は無風時間帯とし、散布対象外への薬液流失を防ぐ。

カンキツは葉層が密であり、葉への薬液付着に強風量が要求される。風量の基準値はブドウ、ナシでは200〜300㎥/分、リンゴ、カキ、モモでは400〜500㎥、ミカンで600㎥/分以上である。

SSの利点は省力・軽労働化であるが、オペレータへの薬液被ばくが大きい欠点もある。

 

 

『農耕と園藝』2003年3月号より転載

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