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種子のへそ

公開日:2021.3.18 更新日: 2021.3.25

種子が胎座につく位置、あるいは胎座から種子が離れて落ちた跡を「へそ」という。マメ種子では、いわゆる目と呼ぶ部位である。
種子の落ちた跡は珠柄の断面であり、花の頃には胚珠の柄で、種子になるときの柄との接点であり、種子を育てるまでの養分はここを通じて母体から供給された。まさに、へそと呼ぶにふさわしい痕跡である。

へそは水分の浸透性が良好な組織で、種子発芽時の吸水は主としてこの組織を通して行われる。

胚珠が種子に発達するにつれて、胚珠とその内部の珠心を包む珠皮は種皮に成熟していく。胚珠の珠心は珠皮で包まれるが、先端だけは珠皮がなく開いており、この部分を珠孔という。
胚珠が胎座についている部分が珠柄である。マメ種子をよく見ると、へその近くに小さな孔が開いており、これが珠孔である。珠孔が胚珠の先端ならば、これはへそになる珠柄から反対の位置にありそうだが、へそと珠孔は近接している種子が多い。

イチョウのような裸子植物では胚珠がむき出しで、しかも直立に着生し、胚珠先端が珠孔になる。
しかし、被子植物では横向きや後ろ向きに曲がった姿勢の湾生胚珠や倒生胚珠が普通で、胚柄と珠孔が隣り合わせになる。このような場合は、しばしば珠柄と胚珠の接触面が大きく、そのため種子になったときのへそが長い形になる。

また、珠孔と珠柄との位置関係から胚珠を分けて、直生、倒生、半倒生、曲生、湾生という。

 

『農耕と園藝』2001年4月号より転載

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