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メリクロン

公開日:2021.3.25

「メリクロン」とは、メリステム(分裂組織)とクロン(栄養系)という2つの言葉を結びつけてできたもので、茎頂培養法によって繁殖された苗をいい、主としてランで用いられている。

茎頂培養とは植物の茎頂を取り出し、無菌状態で寒天などの培地で培養し幼植物を育てる方法で、1つの茎頂から1つの個体を得るのが普通である。

ところが、ある種のランでは培養した茎頂はいったんプロトコーム(ラン種子を播いたときに胚が発育して、まず形成されるもの)に似た球体を形成し、この球体が増加する。そしてこれらの球体から、やがて葉と根が出て新個体となる。
したがって、これらの球体を細切りして培養したり、振とう培養によって増やしたりしておけば、一度に多量の幼植物を得ることができる。このようにして得た苗をメリクロンという。

この方法が実用化されているのはシンビジウムとカトレヤである。このほかオドントグロッサム・デンドロビウム・ミルトニア・ファイアス・リカステなどの種類でも成功している。
ファレノプシス・バンダ・東洋ランでは、現在のところメリクロンによる繁殖法は確立されていない。

このほかにいくつかの植物では、培養カルスから芽や根が形成されて多数の個体が得られる場合がある。このようなカルスを増殖させ、自由に芽や根を出させる方法が実用化されれば、ランにおけるメリクロンと同じ新しい繁殖法となる。

 

『農耕と園藝』1971年4月号より転載

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