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アレロパシー

公開日:2021.4.22

微生物を含めて、植物が外界に放出する化合物により、他植物に直接または間接の有害作用を及ぼす現象を「アレロパシー」といい、他感作用、遠隔作用と訳されている。
この現象は日射や養水分の競合によって起こる阻害とは異質であり、作物の連作障害の一因となる。

他感作用物質の多くは植物の物質代謝の副産物か老廃物であり、植物の遺体に由来したり、根が分泌したり、葉や果実などに由来する揮発性物質である場合がある。これらの物質が水溶性なら葉からの排出があって、これを雨が洗い流すことによって、その下や周辺の植物に影響を与える。
このような物質として、ジベレリン、フェノール酸、アルブチン、ヒドロキノングルコシド、ヒドロケイ皮酸などの溢出が知られている。揮発性物質としてはエチレン、テルペン類などがある。

大部分の他感作用物質は土壌を介して作用する。クルミ地上部の排出するハイドロキシユグロンは土壌中で酸化されてユグロンになり、広葉の草本やツツジ科の低木を枯らす。
根から排出されるモモのアミグダリンやリンゴのフロリジンは土壌中で分解して阻害物質に変わる。
燕麦・小麦・ライ麦の根から出るスコポレチン、クマリン、タバコやチョウセンアサガオのアルカロイド、植物遺体からのクロロゲン酸、クマリンなどによる生育阻害、その他根が分泌するアミノ酸・有機酸・酵素等の有機物を栄養源として繁殖する微生物の害作用が知られている。

 

『農耕と園藝』1980年2月号より転載

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