HOME 読みもの なるほど園芸用語 補償点 なるほど園芸用語 補償点 フキミョウガミツバスイカサトイモ呼吸作用光合成カブナスキャベツ 公開日:2021.4.29 植物は光合成によってCO2を吸収し、O2を放出するが、同時に呼吸によってO2を吸収し、CO2を放出する。 ほかの条件を同じにして光だけを変化させると、弱光下では光合成が小さくCO2の取り込みより呼吸によるCO2の放出の方が多いが、光を強くしてゆくと、このCO2の吸収と放出が等しくなり(同時にO2の放出と吸収が等しくなる)、みかけ上、光合成はゼロとなる。すなわち、真の光合成速度と呼吸速度が等しくなる。 このときの光の強さを光補償点、または単に「補償点」という。 一般に補償点が高いのは陰生植物より陽生植物、陰葉より陽葉であり、生長の盛んな幼植物より成熟した植物においてである。同一植物でも季節により異なり、秋の方が春・夏より高い。 高温は光合成より呼吸作用を増大させるため、低温よりも補償点を高い方へ、すなわち光の強い方へ移動させる。 またCO2濃度を増加させると、弱光下でも光合成を大きくするため、補償点を低い方へ、すなわち光の弱い方へ移動させる。 補償点が低いことは、弱光をよく利用して光合成を行いうることを意味している。多くの測定例では、陰生植物の補償点は0.5klx、陽生植物のそれは1.0~1.5klx以上である。野菜での測定例としては、スイカ・サトイモ・カブで4.0klx、ナス・キャベツ・フキなどで2.0klx、ミョウガ1.5klx、ミツバ1.0klxがある。 なお、補償点とは別に、CO2濃度を下げていったときにみられる同様な現象があり、これはCO2補償点と呼ばれる。 『農耕と園藝』1980年4月号より転載 この記事をシェア 関連記事 2024.3.15 薬剤摘果 果樹栽培においては、着果過多になると隔年結果を引き起こしたり、果実の品質の低下を […] 果樹栽培薬剤摘果 2024.2.15 ハナヤサイの異常花蕾 ハナヤサイの花芽分化は、一定の大きさに生育した苗が一定の低温にあうと起こる性質が […] 毛羽立ちライシーハナヤサイ花芽分化ボトニングリーフィー 2024.1.15 ビターピット リンゴの生理障害のひとつで、果実の主として中央部分から下の方にかけて発生する褐変 […] リンゴビターピット生理障害