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カルチべ市場動向

【鉢物】クレマチスについて

公開日:2021.4.6

仲卸通りを定期的に見て回ることにしている。
季節の品ぞろえが刻々と変わるので、頭でわかっている事と実際の流通がどうかの突き合わせをしたり、気づきを探す為である。そういう作業はいつも必要だと感じている。

さて、クレマチスの鉢物が流通する時期になってきた。

場内でもあちこちで開花輪を見かける。

出荷シーズンについて、東京都中央卸売市場の統計データを基にグラフ化した。グラフでははっきりと見えないが、出荷時期は1月から12月と、なにかしらクレマチス属の植物は流通があり、ハイシーズンが3月から5月という事がわかる。

クレマチスは非常に種類が豊富である。花きの流通品種を登録するサイトとしてJFコードセンターがあり、ここでクレマチスを検索したところ750種の登録があった。春から初夏にかけて様々な色・花型の品種を見かける。冬場に出回る常緑性の品種は花が小さく可憐だし、夏から秋に出回る種類の商品は野趣あふれるものだ。

通年なにかしら流通するというのは、大変強みのある商品であろう。2020年は記録的な園芸需要拡大年であり、今年もその傾向である。新規にガーデニングを始めた方がいつ来店しても、常にクレマチスを、そして違う雰囲気の商品を、そういう広い世界観を提案できるであろう。

また、住宅事情にも合っている。集合住宅においてはそれほど平面が無い訳だが、壁面はまだある。クレマチスは多くの種類がつる状に伸びる為、多少狭くても上に伸ばす、ぐるぐると絡ませるという楽しみができるというところだ。

また、花が咲いたら切って花瓶さすことで家の中で切り花としても楽しめる。さらに、花は結実すると毛玉のようなコットンのような不思議な造形になり、これはこれで観賞価値が高く、切花にしても日持ちもする。多層的な楽しみを提案できる植物であると言える。

ところで、クレマチスは切り花でも流通する。鉢物と異なる点は、輸入品があるというところである。アフリカで大規模に生産され、日本もそうだが、ヨーロッパへ輸出されている。EUのインターネット花屋さんのカタログを見ると、無造作な雰囲気で束ねた花束映像が多くある。そのような商品でクレマチスは利用されているのが確認できる。

世界のあちこちで自然な風合いを醸し出せる花材に人気が集まっている、そういう状況もあり今後もクレマチス人気は続くであろう。

著者プロフィール

桐生進(きりゅう・すすむ)

株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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