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花成物質

公開日:2021.5.6 更新日: 2021.5.11

茎頂に作用して花芽形成を誘起させると考えられる物質を「花成物質」といい、花成刺激、花成ホルモン、花芽形成物質、フロリゲンなどとも呼ばれる。
花成物質の存在は1880年にザックスが予想し、1937年にチャイラヒャンによってフロリゲンと名付けられた。

花成を誘導した植物体を栄養生長の状態にある植物体に接ぎ木すると、後者に開花を引き起こす。
また1枚の葉だけに花成に好適な光周期処理をしても、その植物体は開花することなどから花成物質の存在が間接的に証明され、茎頂に移行する速度も測定できる。

この刺激は光周性の異なる品種や種類間の接ぎ木でも伝達される。
例えば長日植物のヒヨスを短日植物のタバコに接ぎ木すると、短日下でもヒヨスの開花が誘起される。それゆえ花成物質は長日・短日植物の区別なく、また種類を問わず同一なものと考えられ、葉で生産される
短日植物では暗期の後半に作られ、篩管を通り上下いずれかの方向にも移行し、茎頂に達して花芽原基形成の引き金の役を果たす。

フロリゲンは、永年の間、物質同定ができなくて実体が不明であり、「幻のホルモン」として取り扱われてきた。
2007年にFTと呼ばれるタンパク質が、葉で生産され維管束を通って、茎頂分裂組織へ運ばれて、花成を促進することが明らかになり、FTがフロリゲンであると認められている。

 

『農耕と園藝』1967年3月号より転載

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