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頂芽優勢

公開日:2021.5.13

頂芽優勢」とは、一般には生長中の頂芽によって側芽や側枝の生長が抑えられる現象、言い換えると頂芽の生長が良くなる現象をいう。

この現象は、程度の差はあってもシダ植物以上のすべての高等植物にみられ、実際上は果樹の剪定のとき注意する必要がある。
すなわち、立っている枝は弱剪定だと頂芽優勢で頂部の芽が伸びて基部の芽は伸びないが、枝を水平にすると枝の基部からも萌芽伸長する。これは枝を水平にすることにより頂芽の生長が弱まり、そのため側芽に対する抑制効果が小さくなったことによると解釈される。

頂芽を除くと側芽が発達してくるが、頂芽を切り取った後にオーキシンを与えると頂芽と同様にその枝の側芽の発育を抑えるので、頂芽から出るオーキシンが側芽の発育を抑えていると考えられる。

また、発育の抑えられている側芽にサイトカイニンを与えると抑制効果がなくなり、次にオーキシンを与えれば、その芽から枝が伸びてくる(オーキシンは芽の発育は抑えるが、節間伸長は促進する)。
そこで頂芽優勢の現象は、一般にはオーキシンの側芽に対する抑制作用サイトカイニンの抑制解除作用の2つの相反する作用に左右されていると思われる。

頂芽自身がオーキシンを生産していながら、その生長が抑制されないのは、オーキシンとともにサイトカイニンも生産しているためであり、生長中の枝は比較的抑制に対する感受性が低いと考えられている。

 

『農耕と園藝』1967年7月号より転載

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