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光発芽種子

公開日:2021.5.20

種子の発芽には適当な水分温度が必要であるが、ある種子ではそれ以外に光の有無が関係する。
暗黒下では発芽が不良で、光の存在下でよく発芽する。すなわち発芽に光が必要な種子を「光発芽種子」という。またこのような性質を光発芽性という。

農園芸作物の種子の多くは明暗いずれの条件下でもよく発芽し、光の有無が発芽を支配する決定要因となるものは少ないが、野外植物の種子の多くは光発芽性を示す

作物での光発芽種子としてはレタス・タバコ・セロリ・ミツバ・シソ・ゴボウ・イチゴ、
花ではペチュニア・グロキシニア・コリウス・カルセオラリア・ジギタリスなどがある。

しかし、光発芽性は絶対的なものではない。
すなわちレタスでは、20~25℃下では光の存在下でだけ発芽する光発芽性を示すが、10℃で浸漬すると明暗に関係なく発芽する。
またミツバ・イチゴ・ゴボウなどは変温処理で、シソ・イチゴでは低温処理で明暗にかかわらずよく発芽する。
これは種子の生理状態の変化により発芽性が変わることを示している。

光発芽における光の効果を波長別に照射して調べた結果は、一般に赤色光(660nm)の発芽促進作用近赤外光(735nm)の発芽抑制作用があり、光発芽種子は照射された光の中の赤色光部分を感じて発芽することがわかった。これらのメカニズムにはフィトクロームと呼ばれる光吸収物質が関与している。

 

『農耕と園藝』1975年10月号より転載

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