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単為結果

公開日:2021.6.4 更新日: 2021.4.20

種子を含まない果実(種無し果)が生じる現象を「単為結果」、あるいは単為結実という。
一般には果実中の種子は植物体から果実の中へ栄養分を吸収する働きをして、果実を肥大させると考えられ、種子ができないと肥大せず落果してしまう。ところが種子を形成しなくても果実が肥大するものがあり、この果実を種無し果というわけである。

この現象は自然状態で起こる場合と人工的に起こす場合とがある。
自然状態で単為結果するものには、

  • 花粉の不稔により受精できなくて種無し果となるもの(バナナ・温州ミカン)
  • 雌しべの異常で受精できないが、花粉の刺激で肥大するもの(ブドウの乾果用品種)
  • 自家不和合性により受精できずに種無し果となるもの(パイナップル)
  • 開花期が低温のため受精せず種無し果となる場合

などがある。

人工的に種無し果を作るには、

  • 花粉浸出物を雌しべに与える
  • 機械的刺激による
  • オーキシン(1~10ppm)を与える(トマト・スイカ)
  • ジベレリン(10~100ppm)を与える(ブドウのデラウェア種)
  • 三倍体植物の花粉不稔の利用(種無しスイカ)

などがある。

この中で実用化されているものは、オーキシン類散布によるトマト果実の結果・肥大の促進、三倍体スイカ(現在は少ない)、ジベレリンによるデラウェアブドウの種子なし化がある。
ブドウの種子なし化には開花前に1回ジベレリンを散布して不稔にし、開花後もう1回散布して果実の肥大を図る。

 

『農耕と園藝』1967年12月号より転載

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