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自家不和合性

公開日:2021.5.27

雌しべ・雄しべはともに形態的・機能的に完全だが、ある交配組み合わせのとき受精または種子の形成が行われない現象植物の不和合性という。
これは交配の種類から「自家不和合性」、異形ずい不和合性、他家不和合性の3つに分けることができる。

異形ずい不和合性とは、雌しべ・雄しべの長さに差があり、異形の花同士(長花柱花と短花柱花)のときは受精するが、同形花の花粉では受精しない現象で、ソバ・サクラソウ・レンギョウにみられる。

他家不和合性とは、系統間・品種間・種間・属間の交配でみられる不和合性のことである。

自家不和合性とは、同花の雌しべ・雄しべ間の交配、あるいはその純系または栄養素の同株・同一系統の株の花の間で交配したときにだけ受精しない現象である。
園芸作物ではキク・カーネーション・ペチュニア・バラ、他の多くの草花類、果樹ではリンゴ・アンズ・ウメ・オウトウ・スモモ・ナシ・クリなど、野菜ではアブラナ科野菜で知られている。

この現象は花粉が雌しべの柱頭上で発芽しない、発芽しても花粉管が柱頭組織内に入っていかない、柱頭組織内に入っても途中で伸長を停止したり、あるいは伸長が遅く雌しべの受精能力が失われてしまうなどのために起こる。

このように花粉が発芽しなかったり、花粉管の伸長が不良になる原因についてはいろいろな説があるが、花柱内に花粉管の伸長を抑える抑制物質ができるという説がこれまで広く知られている。

 

『農耕と園藝』1968年7月号より転載

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