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リーチング

公開日:2021.6.25

雨、露、霧などによって植物の葉や果実などの植物体表面から無機物質や有機物質が流れ出る現象と、雨水による土壌中の水の降下にともなって土壌中の塩基が下方に移動して流し出される現象を、ともに「リーチング」あるいは溶脱、または脱塩作用という。

植物の体表から流出する物質としては、種々の無機物質、アミノ酸、有機酸、ビタミン、アルカロイド、フェノール物質および生長調節物質のジベレリンなどがある。

無機物質のなかでは、ナトリウム・マンガン・カルシウム・硫黄・カリウムなどが流出しやすく、鉄・亜鉛・リンなどは流出しにくい。

リーチングの大小は植物の種や齢などで異なり、毛が多く濡れやすい種(トマト・キクなど)は、ワックスが多くて濡れにくい種(キャベツ・ネギなど)よりリーチングしやすく、旧葉は濡れやすくて新葉よりリーチングが大きい。

リーチングの原因は、体表面における雨水中のイオンとの交換作用、水孔を通しての排水にともなう物質の流出、クチクラを欠いた部分からの流出とされている。

土壌でのリーチングは、水に溶けやすい塩化物・硝酸塩・硫酸塩の形で、カルシウム・マグネシウム・マンガン・微量元素などの陽イオンや硝酸態チッ素などが流出しやすい。

リン酸塩やケイ酸塩は溶けにくいのでリーチングしにくい。

また炭酸ガスが多いと水の中で炭酸となり、これが無機イオンと結合して炭酸塩となって溶脱する。

 『農耕と園藝』1988年10月号より転載

関連:園藝探偵の本棚「第71回 植物にとって雨とはなにか~「リーチング」の意味」

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