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害虫のトレンチ行動

公開日:2021.8.19

植物を餌にする植食性昆虫が葉を摂食する際に、葉にかみ傷で切れ目を入れて半円状や円形の切れ込みを作り、しばらくしてからしおれた内部や円形の内側を削り取るように食べる場合がある。摂食前に葉に切れ込みを入れる行動を昆虫の「トレンチ行動」といい、これによって葉に含まれる有害成分や粘性のある摂食防御物質が摂食部分へ流入することを防いで葉を食べやすくしている。切れ込みをトレンチというので、「摂食前に葉に円形のトレンチを作る」などと表現する。

トレンチ行動をとる害虫を挙げると、ウリ科植物の葉を食害するウリハムシ・クロウリハムシ・トホシテントウがある。これらは円形トレンチを作り、ウリキンウワバの幼虫は葉柄近くの葉脈にかみ傷を入れて葉を垂下させる。ワサビの葉を食べるヘリジロカラスノメイガの幼虫も葉を垂下させる。イラクサギンウワバの幼虫は葉を横断するようにトレンチを入れ、その先の方を食し、キャベツ・レタス・キク・ピーマン・オクラ・ニンジンなどの葉を食害する多食性害虫である。

植物が生産している昆虫の摂食防御用の化学物質には、マメ科のシアン配糖体、セリ科のクマリン、アブラナ科のグルコシノレート、ウリ科のククルビタシン、トウワタの強心配糖体などがある。粘性物質による摂食行動の阻害には、乳液、樹脂、篩管液中の物質が関係している。

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