HOME 読みもの カルチべ市場動向 【関東市場 野菜】キュウリ カルチべ市場動向 【関東市場 野菜】キュウリ フケ果キュウリ 公開日:2021.6.30 夏秋キュウリの生産量と東京都中央卸売市場の取り扱い 農林水産省の統計を見ると、キュウリの作型は冬春(12~6月)、夏秋(7~11月)の二つに大別されるが、双方の作付面積の減少は顕著であり、特に夏秋の作付面積は1989年(平成元年)に比べ半減している。 2020年東京都中央卸売市場の夏秋期間の主力産地は福島県(28%)、群馬県(14%)、岩手県(12%)、埼玉県(11%)と東北高冷地が多い。 また、年間のキュウリの平均価格は2013年以降300円台で推移、2020年には354円と過去最高値を更新した。生産量減少傾向にある夏秋期間の価格は高く、台風や秋雨前線の影響を受けやすい10~11月には平均価格が400円を超えることもあった。 他の野菜と同様、キュウリの生産量減少も歯止めがきかないため、以前まで安いといわれていた夏秋キュウリは近年、価格上昇が続いている。しかしこの状況がいつまでも長びけば、今度は高値の反動によって消費者の買い控えが生じてしまう懸念もある。 夏秋キュウリの生育速度と正品率 夏秋キュウリは特に生育速度が早く、開花後1週間で収穫が可能になる。1日に3cm伸びるといわれ、些細な温度変化や日照量により細胞分裂がまばらになると、曲がりの発生比率は高くなり、正品率は低下する。 業務では、1本漬けの場合は姿形が均等に揃う上位等級品が求められ、カット漬物の場合は、よほど曲がりが強くなければ姿形は気にならないため価格も値ごろ感のある下等級品の需要が高い。よって加工業者は、夏には上位等級品の契約取引を要望する傾向にある。 さらに、夏は生長が早い上にやっかいなフケ果が多発する時期でもある。高温期の出荷において果実の先端部が流通の最中に肥大してしまう症状のことをいう。収穫時には異常が見られず、原因も判明していないため、流通段階でのロスを防ぐ手法が求められている。 著者プロフィール 佐々木奈穂(ささき・なお) 東京都中央卸売市場である大田市場の青果卸会社で、野菜や果物などの情報を取り扱う部署に所属している。 「農耕と園芸」2020年夏号より改変し転載 この記事をシェア 関連記事 2024.3.28 【関西 果実】清見 中晩柑類と呼ばれるカンキツがある。いわゆるミカン(ウンシュウミカン)とは別の品種 […] ミカンオレンジ清見 2024.3.27 【関西 野菜】シュンギク ウメの季節が終わり、サクラの花の蕾が膨らんでくると春の空気を感じるようになる。ウ […] シュンギク 2024.3.19 【関東 切り花】ストック ストックはアブラナ科に属し、原産地は南ヨーロッパなどとされる。草型は分枝性、スタ […] ストック