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【関東 切り花】センニチコウ

公開日:2021.9.13

センニチコウ切り花の人気が高まっている。コロンとした小さな草花としてのかわいらしさが若年層に支持されているという面と、日持ち性によるコストパフォーマンスの良さが同年代のセンスに合うためだろう。センニチコウの花のように見える部分は苞(ほう)と呼ばれる部分で、色づいた様子が花のように見える。この部分の状態・発色が長く維持されるため長期間の観賞に耐えるのだ。別種に、同様に夏場に日持ちの良い花としてクルクマ(ショウガ科)があるが、こちらもセンニチコウ同様に苞の部分をわれわれは鑑賞している。

センニチコウは市場では一年を通して流通がある。すべて国産だ。旬を夏に迎えるので8月からぐっと出回り量が増えて11月頃まで流通がまとまる。

グラフは大田花きにおけるセンニチコウの月別流通本数、単価を示したものだ。2020年は、月によっては2019年を超える本数が取扱われた。高温期ほど流通本数を伸ばしたようだ。理由を考えると、ホームユース需要が伸びていた2020年の夏場にご家庭で日持ち性の良い商品が特に支持されたためではないだろうか。ホームユース向けの販売サイトやサブスクリプションサービスが次々と生まれている状況を考えると、センニチコウの需要は今年も続くものと思われる。

 

次に、色別の取扱い本数を示すグラフを示す。円グラフから赤、紫、ピンクで80%以上あることがわかる。色相環を思い描いていただくとおわかりのとおり、青、黄色が欠けている。昨今は様々な色を使うブーケが定着しているので、センニチコウにない色と大きさを持った相補的な商品ができるだけあったほうが良いだろう。さらに望むのなら、色のトーンも似通っているものがなお良い。例えば、センニチコウに不足している黄色味としてヒメヒマワリがあるが、センニチコウと色のトーンを揃えるなら彩度の高いもの(色がはっきりしたもの)が良いだろう。

一般的に花き類は、基本的にどれをとっても相性は良いのでこれとこれが決定的に合わないということはないようだが、サイズや雰囲気、色の彩度が揃っているほうが合わせやすく、合わせやすいならより販売チャネルが広がるだろう。

ところで、最近のセンニチコウで「ファイヤーワークス」という興味深い品種がある。花火を意味する名称で、苞が青みがかったピンク、黄色の花が苞に隠れずぱっとはじけたように飛び出しているので派手な印象だ。センニチコウなので巨大な花ではないが、とても目を引く。こういう新商品にも期待したい。

著者プロフィール

桐生進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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