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草生法

公開日:2021.10.21

果樹園一面を草生にする土壌管理方法を「草生法」といい、これを取り入れた栽培法を草生栽培という。この方法の目的とするところは、土壌侵食の防止と土壌中の有機物の増加および土壌構造の改善による果樹の生産力の増加にある。土壌の侵食防止の効果は傾斜園で著しく、これは清耕法(裸地あるいは中耕を行って除草する)に比べて、草生園では水の浸透が良好で地表面を流れる流去水が少なくなることによる。

草生の材料は、イネ科のオーチャードグラス・チモシー・ブルーグラス・レッドトップ、マメ科のアルファルファ・クローバー類が主なものであるが、多くは混播される。なかには雑草草生の例もみられる。

草生栽培で問題となるのは、果樹と草生との間に養水分の競合があることで、特にチッ素の競合が大きい。その点、比較的障害の少ない深根性の果樹、なかでもリンゴ園でその普及が大きい。一般に核果類や小果樹類には適さない。

チッ素の競合を防ぎ草生法の欠点を補うためには、樹齢・土壌条件・草種などを考え、草生部分と清耕または敷きワラ部分との比率を適宜調節する。さらに競合の影響が強く、草の育成が盛んな春から夏にチッ素を化学肥料で30~50%増施し、数回の草刈りを行うとよい。また草生は数年ごとにすき込んで更新し、刈り草はすべて園内に還元することが勧められている。

このような管理を長年にわたって行うと、草生法の効果が現れ、樹勢もよくなり、良品生産が高まることが知られている。

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