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硬化(順化)

公開日:2021.11.25

植物が低温にあうと生長が抑えられ、葉は濃緑色で厚くなり、トマトやナスではアントシアニンが出て紫色を帯びてきたり、キャベツなどはロウ質物を分泌したりする。このように、適温・適湿のもとで育てた植物のみずみずしい感じに比べて、いわゆる硬い感じになり、寒害・干害などに対する抵抗力を増す。

このような現象を「硬化(ハードニング)」または「順化」という。硬化は低温にあわせたとき以外に、潅水を制限したり、日光に十分当てたりした場合にも起こる。

硬化すると植物は体内の水分含量が減り、炭水化物含量が増し、細胞の浸透圧が高まり、蒸散量が減少する。このような生理的変化が寒さや乾燥などの不良環境に対する抵抗力を増す原因と考えられている。

野菜などの育苗では、定植前に硬化の操作を行うのが普通である。硬化した苗を定植すると、萎凋が少なく早く発根するので、植え傷みが少ない。

実際の操作は、温床育苗では苗をよく外気にあて、日光に十分さらし、夜の冷気にあて、潅水をひかえ根回しなどを行う。硬化の程度は定植後の環境条件に見合って決められるのであり、必要以上の硬化は生育を遅らせ、収量を減じることがあるので注意する。

なお、順化という場合には、生物学上、生物の集団が環境に適応して遺伝的に変化する現象をいうことがある。ここで述べたような順化(硬化)は遺伝的な変化をともなわないので、硬化というのがよい。

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