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雑種強勢(F¹強勢)

公開日:2021.12.9

もともと他家受粉を行っている他殖性植物を自殖(自家受粉)していくと生活力が衰え、自殖を数世代繰り返すとひどく生活力の劣った自殖ホモ系統が得られる。ここで自家受粉というのは同一花内の受粉であり、他家受粉とは同花以外の花粉による受粉をいう。

この自殖系統間の交雑により生活力を回復した交雑F1(雑種第一代)は両親の平均より、あるいは優れた親よりも生育旺盛で生産力も高いが、F2(雑種第二代)では生産力の低下が再び起こり、強勢を自殖によって固定できない。このような現象を「雑種強勢(F1強勢)」という。

この性質を利用して品種改良を行い生産力を高めているものにトウモロコシ、牧草(チモシー・アルファルファ・ソルガム)、各種野菜、花き(ペチュニア・キンギョソウ・ベゴニア)などがある。なかでもキャベツ・ハクサイなどの葉菜類とトマトやキュウリなどの果菜類では、種類によっては全体の9割をF品種が占めている。

これらの品種には〇〇交配、F1交配などの呼び名がつけられている。F1品種の作成では優良母本の維持、優良な組み合わせの発見、大量採種の方法などに研究のエネルギーがさかれている。その結果がハクサイなどにおける不和合性利用、およびタマネギにおける雄性不稔利用による大量採種法であるといえる。

強勢は一般には生長・収量に現れるが、病虫害、干害、寒害への抵抗性などにもみられる場合がある。強勢の起こる原因については種々の理論があり、まだ定説はない。

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