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胚培養

公開日:2021.12.23

種子から胚だけを取り出し、寒天培地などで無菌的に生長させる方法を「胚培養」という。

種子の中には胚が途中で退化したり、胚は完全であるが胚乳が不完全だったり、胚乳中に発芽抑制物質が含まれる場合や、深い休眠中で後熟が必要であるなどのために自然の状態では発芽できないものがある。これらの種子から胚だけを取り出して(胚が退化するものでは退化する前に)、炭水化物、チッ素、ビタミン、微量要素など、胚の栄養分となるものを加えた寒天培地に植え付け、pH・光・温度などの適当な条件のもとで培養する。取り出したときの胚の分化の程度によって胚の生長の様子は異なる。生長した個体を寒天培地から土に移して育てれば、完全な幼植物になる。

胚培養を行うと、胚の発芽や生長を妨げていた原因の一部が取り除かれるので、正常な種子が得られなかったような交雑の組み合わせで新しい雑種植物を得ることができる。今までにヤマユリとカノコユリの交雑種や早生モモの雑種など、多くの成功例が知られている。

また、発芽を容易にしたり、休眠を破って生育期間を短縮することも可能であり、アヤメやショウブ類などで利用されている。そのため育種の能率を向上する1つの方法としても利用される。ランの種子は胚乳が退化し胚だけなので、ラン種子の無菌発芽も胚培養の1つである。

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