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高冷地育苗

公開日:2021.12.30

自然状態で早く低温にあわせるため、高冷地で夏から秋にかけて育苗管理することを「高冷地育苗」といい、その目的は主として花芽の分化発達の促進、休眠の打破およびそれらの両方にある。したがって、低温で花芽の形成あるいはその発達が早まる性質をもつ作物か、休眠現象をともない、その打破に低温が有効と認められる作物で利用される。

花芽の分化発達の促進を目的として高冷地育苗するものにシクラメンと促成イチゴがある。シクラメンは6月以降に連続して花芽分化するが、夏季に高冷地育苗すると花芽の分化が多く、かつ発達が早まる。10~11月に山下げし加温すると開花が早まる。促成イチゴは夏から初秋の間に山上げしておき、花芽の形成を認めてから山下げする。標高1000mでの育苗は平地に比べて花芽分化で7日、開花で15日、果実成熟で20~25日早まる。

休眠打破を目的としてツツジ(ベニキリシマ)・キク(夏ギク)・半促成イチゴ(晩期山上げ栽培)が高冷地育苗される。ベニキリシマは8月下旬から11月上旬まで、イチゴは10月下旬から12月中旬まで、キクは挿し芽苗を8月下旬から11月下旬まで、標高1000m付近に山上げし育苗する。

花芽形成の促進と休眠打破の両方の目的をもつものには半促成イチゴの早期山上げ栽培がある。標高1300m付近に8月中旬に山上げし、5℃以下の低温に700~800時間あてて、11月下旬から12月上旬に山下げする。

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