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【関東 切り花】ネイティブフラワー類

公開日:2021.11.20

花き業界でネイティブフラワーと呼ばれる植物種は、南アフリカやオーストラリア原産の個性的な風合いを持つ植物群を指す。商業取り引き上の分類では、カンガルーポー、セルリア、ブルニア、バンクシア、ピンクッション、フランネルフラワー、プロテア、ライスフラワー、リューカデンドロンそしてワックスフラワーの10種が主な該当商品だ。

月別の流通本数をグラフにしてみたのでご覧いただきたい。これらは現在北半球での生産もあるし、日本国内での生産も一部あり、鉢物での出回りもある。

国内の切り花マーケットへは主に南半球の生産地からの出荷物が主となる。流通の旬はグラフのとおり、秋となる。南半球は北半球とは真逆の季節となることから、南半球で春を迎え開花した花が日本の秋に出荷最盛期を迎えているのだ。月別の流通本数は商品アイテムによってピークが前後するが、全体としては11月がピークとなる。

ネイティブフラワーは、日本ではなかなかない雰囲気や日持ち性、インテリアとの相性から人気がある。昨今のホームユース花き消費をけん引する20〜30代の年齢層からの人気も高いようだ。ネイティブフラワーの持つドライフラワーのようなテイストも評価されているのかもしれない。

過去に出版された花き生産の技術書などを見ると、現在国内生産が少ないアイテムでも栽培方法が掲載されていることから、花き産業が拡大基調にあった1980年代-1990年代にかけて栽培研究がなされていたようだ。現在人気が再燃しているから、再び国内生産が増えてもおかしくはないと思われる。また、農産物の多面的価値の認識と利用ということもワックスフラワーにはあるようだ。

とあるオーストラリアのサイトを見ると、食用やクラフトビールのフレーバー(香りがいい品種がある)などへの利用がある。観賞用+αという多面的利用ができる農産物ととらえて導入検討をしてもいいのかもしれない。この事例に限らないが、+αの部分が皆さんの生産物にもあると思うし、逆に観賞用が+αという事例もあるだろう。

ネイティブフラワーの販売チャネルについて大田花きの顧客カテゴリから分析したところ、量販店での取扱いは少ない商品群だった。2020年は多くの品目で量販店部門のシェアが伸びているにもかかわらず、ネイティブフラワーについては専門店シェアが高いまま維持され、量販店部門のシェアが伸びていない。

2020年4-6月のコロナ禍のインパクトに、秋に旬を迎える商品はあまり影響されなかったという分析もあるが、量販店でも気軽に購入できる商品を増やすことでファンが増えると思われる。ご検討いただきたい。

(注)品名に記載ある%は、ネイティブフラワーの年間取扱い本数のうち、それぞれの商品が占める割合が特に活発な11月の数値を示している。

著者プロフィール

桐生進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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