農耕と園藝 online カルチべ

生産から流通まで、
農家によりそうWEBサイト

お役立ちリンク集~カルチペディア~
なるほど園芸用語

受粉樹

公開日:2022.2.3 更新日: 2021.12.21

果樹栽培が集団的になると、その地方で栽培される品種が統一され単植果樹園が多くなる。この品種に花粉不稔、自家不和合などの性質があれば、受粉・受精が困難となり収量が急減する。そこでこの品種に花粉を供給するために適当な品種を混植する必要がある。この花粉を供給する品種を「受粉樹」あるいは花粉樹という。リンゴ・和ナシ・洋ナシ・オウトウ・クリ・ウメの大部分は自家不和合性があるため、受粉樹を必要とする。

受粉樹のもつ性質としては、まず第一に果樹園に栽培されている主要品種と互いに交配親和性が強く、開花期が接近していることが必要である(例えば和ナシの「長十郎」には「二十世紀」「今村秋」)。また多量の花粉を生ずる品種がよい(和ナシでは「市原早生」「八雲」「菊水」などは花粉が多く、「新高」「石井早生」は最も少ないとされている)。なお、受粉用品種も商品価値の高いことが望まれる。

主要品種に対して、どの割合で受粉樹を混植するかは種々の事情により一律には決められないが、10~30%くらいの混植が普通とされている。天候がよければ昆虫の飛来もよく行われ10%くらいでよいが、悪ければ30%くらいが必要である。最近では薬剤散布などにより花粉を運ぶ昆虫類が死んだり、果樹に近寄らなかったりするので、混植だけでは十分な受粉が期待されないことがあり、人工受粉が行われるようになった。この場合、花粉を採取する目的で植える受粉樹は、主要品種の10%以下で十分といわれる。

この記事をシェア