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キュアリング

公開日:2022.2.17 更新日: 2021.12.21

サツマイモなど掘り上げたイモをすぐに貯蔵すると、その表皮組織が軟弱であったり、傷があるため腐敗する恐れがある。そこでイモの傷口が自然にコルク化して治るという性質を利用し、人為的に適当な温度と湿度を与え、イモの傷口や表皮の下にコルク層を作らせる操作を行い貯蔵する。この操作を「キュアリング」という。

サツマイモが貯蔵中に腐敗するのは、軟腐病や黒斑病などの病菌がイモの傷口から侵入するためであり、この菌の侵入をキュアリング処理でできた硬いコルク層が防ぐのである。処理の方法はサツマイモを収穫したらできるだけ早く温度30~35℃、湿度85~90%の室に5~7日間おく。そうするとコルク層が表皮の下に5、6層発生する。処理が終わったものは貯蔵庫に移し、温度を13℃くらいに下げて貯蔵する。

キュアリングを行ったイモは病気に対して抵抗力をもつばかりでなく、寒さに対しても強くなる。またキュアリング中にイモの中のデンプンは急速にデキストリンとショ糖に変化する。そのため甘味を増し、粘質となり、味が良くなるという効果をもたらす。このようなサツマイモは歩留まりが良いので、蒸し切り干し(乾燥イモ)に向いている。また翌春まで持ち越される種イモとしても優秀とされている。この貯蔵方法は今世紀の初めにアメリカで案出された。

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