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環状剥皮(除皮)

公開日:2022.2.24 更新日: 2021.12.21

果樹の幹や枝の一部分の靭皮部を含めた樹皮を、狭い幅で環状に取り除くことを「環状剥皮」という。この操作は主として果樹の花芽分化を促進し、花芽着生を良好にするために行う。

果樹の花芽分化は木の栄養条件に強く影響を受け、炭水化物が多い場合に分化が促進される。

ところで環状剥皮は、葉で作られた光合成同化産物が下方に移動する通路である篩管を含む靭皮部を取り除くので、処理部位から上で炭水化物が蓄積する。根から吸収された水や無機物は、環状剥皮で残された木部の周辺にある導管を通って上方に送られるので、処理上部の枝などがしおれたり要素欠乏になることはない。このような理由により、花芽分化が促進されると考えられている。この効果を上げるには花芽分化期前に行う必要がある。

また、この処理は枝や葉の生長が旺盛で、花や果実への養分供給が不良なときに起こる落果を防ぐ。このような効果をもつ処理には、目傷を入れたり、針金で強く枝をしばったりする方法もあるが、木の栄養条件を良好にし環状剥皮と同等な効果をもつ方法はほかにあるので、現在では実際上ほとんどこの操作は行われない。

環状剥皮の効果は炭水化物の蓄積によるばかりでなく、ほかの物質の蓄積や植物ホルモンの変動も引き起こすことが知られてきているので、これらの要因も関係していると思われる。

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