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【関東 切り花】 リューココリネについて

公開日:2022.2.17

リューココリネという切り花が1〜4月にかけて流通する。学名由来の流通名が長すぎることから通称「リューコ」と呼ばれている。

とても繊細な印象を与える花だ。2〜3mm程の細い茎に、4〜5輪の青紫系、または白系の花を咲かせる。主たる流通は青紫系の花色を持つ品種なので、青紫色の花、という認識の方が多いと思われる。

リューココリネ・コキンベンシス

この紫という色は昨今たいへん注目を集めている。世界的なトレンドカラーを提供するパントン社の2022年のカラー・オブ・ザ・イヤーはベリーペリ(VeryPeri)という青紫。また、大田花きが毎年実施するフラワー・オブ・ザ・イヤー・OTAでは、2020年頃から青や紫がかった色合いの品種が多数入賞するようになった。ブーケやアレンジに差し色のブルーや紫系の花をちりばめると、全体の輪郭がはっきりとするからだ。昨年の紅白歌合戦では舞台装飾が生花で構成されたいへん見事だったが、ずいぶんと様々な種類の青や紫色の花が差し色で使われ、装飾全体を引き立たせていた。このようなことから商材にとらわれず、色による需要が拡大していると思われる。

また、リューココリネの形状もトレンドに合うようだ。コロナ禍によるホームユース需要の増加で自宅に花を飾る人が増えているからだ。小さな花瓶に活けてリビングやキッチンに飾るケースが多いので、生活者は飾った植物を上、もしくは横から見ることになる。すると横から見た時のリューココリネの造形美を評価するようになり、可憐な花姿だけでなく、茎の形状も飾る時の評価対象になるからだ。すらっとした、しかし自然な印象を与えてくれる茎はリューココリネの評価をさらに高めているといえるだろう。

リューココリネ・カラベル

すらっとした茎を評価する向きは自宅需要だけに限らない。「ゼクシィ 結婚トレンド調査2021調べ」によれば、首都圏ではクラッチ型のブーケを選択する人が増加傾向にある。クラッチ型ブーケというのは、その名のとおり、野原で花を摘んで束ねたようにしたブーケのことで、通常は茎がむき出しで自然な感じを醸し出すスタイルだ。そのクラッチ型ブーケは、もう少しで一番人気のラウンド型ブーケを選んだ人数に並ぶところである。

ブーケの主な形はラウンド、クラッチ、カスケードとある。この3つのうち、過去数年の期間で採用する割合が増加しているのはクラッチ型だけだった。自然な見た目を選択する傾向はしばらく続くのではないかと思われる。リューココリネのようなシルエットがすらりとした花は今後も家庭需要、婚礼需要で人気が継続するだろう。

 

 

 

著者プロフィール

桐生進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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