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果樹の休眠現象

公開日:2022.5.7

一般の落葉果樹や花木では、冬期間にある程度の低温を受けないと、春になって萌芽・開花が遅れたり、不揃いになることがある。これは芽に休眠という現象があって、この休眠が完全に終わっていないうちに温暖な気候となり萌芽するからである。

休眠期間とは、多くの落葉果樹では秋から冬にかけて芽の生長が一時停止する期間をいい、これはさらに自発休眠期と他発休眠期の2つに分けられる。自発休眠とは萌芽に好適な条件を与えても芽の内部的な原因のために萌芽しない状態をいい、他発休眠とは芽の内部的な原因はなくなり、いつでも萌芽できるのだが気温が低いため萌芽できないでいる状態をいう。

多くの落葉果樹は8月に自発休眠に入り始め、12月から1月中に休眠が破れ、あとは他発休眠の状態にある。したがって、わが国の中北部で萌芽が遅れるのは他発休眠によるものであり、逆に西南暖地で萌芽・開花が遅れたり不揃いになったりするのは自発休眠が十分完了していないことによる。

休眠の原因ははっきりわかっていないが、休眠を支配する特殊物質と生長促進物質とのつり合いから説明されることが多い。すなわち低温によって休眠物質が減少し、生長促進物質が増加し、休眠が破られるというわけである。休眠が不充分な場合、低温に代わる処理を行い、萌芽・開花を促進できれば好都合である。実験的には、休眠が浅いときは鉱物油を、深いときはフェノール物質を添加すると効果がある場合がある。

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