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トマトの空洞果

公開日:2022.11.20

トマト果実の内部の充実が悪く、大きく空洞になっている果実を「空洞果」といい、俗になかすき、ピンポンなどと呼ばれる。これは種子を含んでいる緑色部分(胎座)のゼリー状物質と果皮部との間が離れて隙間ができ空洞となるものである。
発現のタイプは2つあると考えられ、1つは胎座部はかなり大きく生長するが、それよりもはるかに果皮部の生長が良好なために空洞となる場合と、他は種子が少ないために胎座部の発達が不良となって空洞になる場合である。
前者は栄養過多が原因と考えられる。後者は着果促進のために行うホルモン処理(一般にはトマトトーンが使用される)による単為結実が主因である。特に若い蕾にホルモン処理され、その後高温を経過すると多発する。また高濃度での使用、散布過多などの処理不手際で発生が増加する。そのほか日照不足・チッ素多用・株の衰弱などがともなうと発生が助長される。
生理的には果実のオーキシン含量が果皮と胎座で差を生じ、果皮部のオーキシンが増加するため果皮の発達が良いので空洞になりやすいと説明されている。
防止策としては受粉させることができれば簡単である。またジベレリン(50ppm)を着果ホルモン処理の前日か前々日に花房に噴霧し、その後ホルモン処理する。この方法は手間がかかるので、実際は着果ホルモンにジベレリンを混用して1回散布が行われる。そのほかにチッ素肥料の過用や着果過多を避け、若い蕾へのホルモン処理を避けることが有効である。

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