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【関東 鉢物】観葉植物について考える 斑入り品種が美しいディフェンバキア類の提案

公開日:2022.3.11

農林水産省の花きの作付け統計データによれば、園芸植物のうち観葉植物は年間4100万鉢の出荷数がある。この数字は令和2年(2020年)のデータだ。出荷量が前年を10%以上も上回る状況だった。国内では2020年の年頭から新型コロナウイルスの発生が問題となり、外出制限などが求められたため、ご自宅などで花や緑を育て飾り、家のなかを快適環境にしようというライフスタイルが拡大した。切り花・花鉢類・洋ラン類・苗物、それから観葉植物などの花き類すべてが対象だ。観葉植物需要が特に高まり、要望に応えるように供給が増えたということが2019年比出荷量ベースで2020年は110%になった背景だろう。

家のなかの快適環境を求める一方で、植物がおしゃれであるかどうかも重要な側面としてある。日本フローラルマーケティング協会(JFMA)が2021年に実施した大規模な生活者アンケート『花の消費動向調査2021~観葉植物の購入・栽培実態~』によれば、自宅用に観葉植物を購入した方にその理由を問うたところ、おしゃれだから購入したという回答は45.7%で第2位だった。第1位は「癒されたいから」で65.4%。おしゃれさの重要度が高いことが想像される。そこで今月はディフェンバキアという観葉植物と、おしゃれさについて考察してみたいと思う。ネットで検索いただくとおわかりのとおり、様々な斑入り品種があることがこの植物の特徴であることがひと目で納得できるだろう。

ごくごく一部のファッションに敏感な方々の間では、柄の入ったズボンやスカートに上着も柄物という、柄物に柄物を合わせるスタイルでファッションを決める人が一定の数いらっしゃるそうだ。通常は柄の入った服を上着に用いた場合、ズボンも柄にすると大変ちぐはぐになる。そこで一般の方は無難な無地を選ぶ傾向にあると思われる。柄のある洋服の着あわせは難しいのだ。一方で、おしゃれ上級者はあえてその難問にチャレンジし、素晴らしい組み合わせを体現する風潮があるようだ。

ここまで読んでいただいた方はお気づきのとおり、ディフェンバキアの斑入り模様のある葉を柄と見立てるなら、鉢も柄物であると、ある層にはおしゃれとしてヒットするかもしれない。観葉植物は一般的に鉢、もしくは鉢カバーはシンプルで自己主張はそれほど強くないものが選ばれる。白い鉢やモノトーン調だ。柄のきつい鉢はあまり見かけない。観葉植物の購入用途は癒しという先入観が浸透したため、斑入りの個性的な観葉植物の提案や、さらに鉢そのものをどういう柄にするかということはひとまず二の次になっている可能性がある。

コーディネートは大変難しいだろうが、ひとたび街のおしゃれ番長様方に斑入り観葉植物×柄のある鉢のセットを気に入っていただければ、大勢への拡散もまた期待できるだろう。なお、このストーリーはある実例に基づいており、まったくの架空ではない。ご参考まで……

著者プロフィール

桐生 進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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