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温暖化による発色不良を防げ!~リンゴ、ブドウの着色を促す 果実発色促進装置を開発~

公開日:2022.5.18

リンゴやブドウなどの果実は味だけではなく見た目も重視されるため、糖度が高い果実であっても、果皮の着色が不十分だと商品価値は大きく損なわれてしまいます。着色不良を防ぐため、着色を促す太陽光が果実に当たるように、太陽光を遮る葉を摘み、果実の向きを変え、地面に反射するシートを敷くなどの取り組みが行われています。しかし、こうした作業は重労働であるにもかかわらず
、確実に効果が得られるわけではありませんでした。

しかも近年は地球温暖化による高温で着色が不良になる現象がリンゴやブドウの産地で報告されており、果実の着色を促す技術が求められてきました。そこで東京大学、山口県産業技術センター、農研機構果樹茶業研究部門の研究グループは、リンゴや赤色系のブドウに青色LED光を照射して着色を促す「果実発色促進装置」を開発しました。

イラスト/坂木浩子

冷蔵貯蔵庫に置いて使いやすいように箱型をした装置は、内部が青色LEDを多数組み込んだ仕切り板で3つの部屋に分けられています。果実の大きさに応じて仕切り板を動かすことが可能で、直径12センチまでのリンゴなら一度に最大12個の着色を促すことができます。

青色LED光を照射することで、リンゴ、ブドウの果皮に含まれる色素のアントシアニンが増加し、着色が促されます。着色が十分ではないリンゴを対象に、装置内の温度を15℃に保って、5日間、青色LED光を照射したところ着色の改善が確認されました。赤色系のブドウ品種でも同様の着色改善が認められています。量産すれば1台当たり26000円程度で販売できると試算されていることから近い将来の実用化が期待されています。

文:斉藤勝司

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