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スプレーで噴霧するだけ~狙った遺伝子の働きを 抑制する技術を開発~

公開日:2022.7.21

遺伝情報を書き換えられた遺伝子組換え作物は、消費者に敬遠されるだけでなく、法的な規制もあって日本ではほとんど生産されていませんが、自由に遺伝子を改変できれば、有用な特長を持つ農作物を作り出すことが期待されます。

しかし、これまでの技術では遺伝子の機能を制御することは簡単なことではありませんでした。そこで理化学研究所、京都大学、宇都宮大学などの研究グループは、スプレーで噴霧するだけで植物を改変できる技術の開発に取り組みました。

イラスト/坂木浩子

研究グループは細胞膜をすり抜けて細胞の中に入り込む「細胞透過ペプチド(CPP)」に注目。このCPPに狙った遺伝子の働きを抑えることができる合成RNAを取り付け、スプレーで噴霧できるようにしました。実験用に蛍光タンパク質を作り出すように遺伝子を改変されたトマトやシロイヌナズナの噴霧したところ、タンパク質の合成が抑制され、蛍光発色が消失することが確認されました。

どの遺伝子を働かせないようにするかは今後の研究次第ですが、将来的にはスプレーで噴霧するだけという簡単な方法で植物を改変して、農業生産性を高めることができるようになるかもしれません。

 

文:斉藤勝司

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