HOME 読みもの アグリニュース ヒマワリ果実の収量増加にも期待 ヒトには見えない花模様に2つの役割 アグリニュース ヒマワリ果実の収量増加にも期待 ヒトには見えない花模様に2つの役割 ヒマワリブルズアイポリネーターフラボノール化合物 公開日:2022.7.11 ヒマワリの花には、ヒトには見えないブルズアイという模様が隠されています。 ブルズアイとは紫外線によってできる模様のことで、その大きさや形は花によって異なり、ハナバチ類などの花粉を運ぶ昆虫(ポリネーター)が遠くから花を見つけるのに役立ちます。 このほど、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)などの研究グループは、ヒマワリのブルズアイを作る成分には、ポリネーターを誘うだけでなく、花の水分量を調節する役割があることを発見しました。 イラスト/坂木浩子 研究グループが北米各地に生える野生ヒマワリのブルズアイを測定したところ、小さなものから花全体を覆うものまで、生育環境や種類によって大きさや形が異なっていました。そして同じ生育地ならブルズアイが大きいほど、ポリネーターが頻繁に訪れることが明らかになりました。 さらにブルズアイの多様なパターンは、主にHaMYB111という遺伝子が担っていることがわかりました。この遺伝子は、紫外線を吸収するフラボノールという化合物の生合成を調節していて、乾燥や極端な温度などのさまざまな環境ストレス下で働くことが知られています。今回の研究では、乾燥した環境に生えるヒマワリほど、ブルズアイが大きいことが判明しました。ブルズアイを作るフラボノール化合物は、乾燥した地域では大きなブルズアイが花の水分を保ち、湿度が高く暑い地域では小さなブルズアイが花を涼しく保つのに役立つことがわかったのです。 ヒマワリは観賞用としてだけでなく、2020年には約200億ドル産業であるヒマワリ油の生産などの目的で栽培されています。今回の成果は、ブルズアイをコントロールすることで、ポリネーターを効率的に引き寄せて、果実の収量を増やすことにも役立つと期待されます。 文/保谷彰彦 この記事をシェア 関連記事 2022.8.12 害虫防除の標的に利用できる?! ~虫こぶを作る昆虫は体内で植物ホルモンのサイトカイニンを作っていた~ 植物を植資源とする植食性の昆虫には、植物の組織形成を刺激して異常なこぶ(これを「 […] 虫こぶ酵素サイトカイニオーキシン昆虫害虫 2022.7.21 スプレーで噴霧するだけ~狙った遺伝子の働きを 抑制する技術を開発~ 遺伝情報を書き換えられた遺伝子組換え作物は、消費者に敬遠されるだけでなく、法的な […] 遺伝子組換え作物細胞透過ペプチドCPP 2022.7.1 分子メカニズムを解明!! 植物の栄養状態によって調節される菌根形成 陸上植物は、ある種の土壌菌類と共生して菌根をつくることで、リン酸を効率よく吸収で […] 菌根アーバスキュラー菌根リン酸塩PHR減肥料リン酸感受性