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(公財)園芸植物育種研究所      第18回オープンデイ 開催!

公開日:2022.6.24

さる6月17日(農業関係者公開)、18日(一般公開)の2日間に渡り、千葉県松戸市紙敷にある公益財団法人 園芸植物育種研究所 (enken.jp)にて、第18回オープンデイが開催された。会場には、メロンやカボチャの育成品種についての研究展示がされ、また、ミニトマト『かむり』や『べにすずめ』、ピーマン新品種『TSRさらら』のハウス展示があった。担当した研究員から直接に、それぞれの品目・品種の歴史や特性について詳しく解説を聞くことができ、品種特性や栽培上の注意点などの理解を深めることができた。

また、17日に同時に開催した第34回園芸技術講演会では、東京農業大学の大江靖雄教授より「コロナ禍における野菜農家のネット直販サイト利用とその課題」のテーマで講演と、ピーマン品種「TSRさらら」とトマト品種「かむり」の新品種紹介があった。

会に先立ち、園芸植物育種研究所の丸尾達理事長から「なんとか開催したいと準備を進め、規模は縮小したものの、感染予防対策を万全にし、3年ぶりにオープンデイを開催することができました。本当にうれしい限りです」と挨拶があった。

(公財)園芸植物育種研究所 丸尾理事長
講演をする東京農業大学の大江靖雄教授

大江教授からは、講演の締めとして「ネット産直の販売チャネルとしての重要性は不可逆的であり、今後、農家がネット直販に関するノウハウの能力向上の支援策が必要だ」とする政策提言があった。

研究開発部の源田佳克氏

TSWV(トマト黄化えそウイルス)抵抗性ピーマン「TSRさらら」の品種特性について講演を行う研究開発部の源田佳克氏。抵抗性を打破するTSWVが存在するので、抵抗性が発揮できるウイルスであることを確認し、また、圃場衛生管理や紫外線カットフィルムを利用したアザミウマ防除、開口部への防虫ネットの利用など複合的な防除が必要であると解説していた。

さららとTSRさらら
ピーマン(左)「TSRさらら」と、(右)「さらら(L3)」
研究開発部の角田鈴奈氏

黄化葉巻病耐性・単為結果性ミニトマト「かむり」の品種紹介をする研究開発部の角田鈴奈氏。特に育種に力を入れたのが、単為結果性と果実外観。「かむり」の果実の形は「べにすずめ」に比べ、きれいな球形でヘタは肉厚。収穫後のヘタの巻き上がりも少なく、スリーブに梱包した時の見栄えも良いそうだ。また、「かむり」は長期栽培に向き、節間が長めで密植栽培にも向くのではないかと解説していた。

「かむり」のアップ
向かって右が「かむり」、左の畝は「べにすずめ」

来年は、コロナを克服し、さらに充実したオープンデイが期待される。メロンやカボチャ、ピーマン、トマト等、今後、(公財)園芸植物育種研究所の育成品種に注目していきたい。

 

取材/御園英伸

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