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【関東 切り花】クルクマについて

公開日:2022.8.9

ウコン属の花きを学名にちなみ、流通上クルクマと呼ぶ。日本では薬用植物として古くから知られた植物だが、観賞用として広く知れわたったのが1990年の花博だったということだから、ここ30年ぐらいで急速に定着したアイテムだ。

当初は、夏の暑さに強いことからハスの代用として仏事向けの花とみる向きもあったそうだ。しかし、今やあらゆる需要に利用される商品として定着している。家庭需要では、高温期に一週間飾ることができるアイテムとしてクルクマはたいへん重宝されているのだ。

大田花きにおけるクルクマ切り花の入荷量と単価について、2019〜2021年度をグラフ化したのが下図だ。コロナ前の2019年度とコロナ禍に入った2020年度以降とをグラフから比較すると、5〜6月にやや単価面でマイナスがあったようだが、出荷ピークを迎える7月以降は大きな相違がないことが見てとれる。比較的堅調に取り引きが推移している品目であることがわかる。

品種数は、大田花きの取り引き実績から、現在80種程のクルクマ類が流通していることがわかる。80種中上位10〜13品種で80%の本数シェアとなる計算だ。これは、上位2割が8割のシェアを取るというパレートの法則が当てはまると言い換えられる。このような割合にあるとき、品目全体としては様々なメリットが発揮されていると思われる。定番商品が80%、新商品が20%というざっくりとした切り分けで考えることができることから、数値管理をしながら課題に取り組むことができるからだ。

昨今シェアが伸びて定番化した商品に「エメラルドチョコゼブラ」という品種がある。側面から見ると、グリーンと茶色が交互に入った、まさに品種名そのものの縞模様なのだが、また一方、真上から見るとグリーンのみに見えるという、生け方・飾り方で植物の雰囲気が変わる興味深い品種なのだ。

ラウンド型のデザインが減少傾向で側面から見るデザインが増えているのだが、この品種はトレンドにうまく提案できている商品だなと思う。このような品種の流通量が的確に伸びて定番の80%を構成しているのだ。また、新商品であるところの20%においては20%を4%と16%の二段階に切り分けて、4%でさらにチャレンジングな取り組み(最新品種導入、新しい仕立て、出荷時期再考)などをしていただければ常に動きの活発な品目となり、ますます発展するものと思われる。

著者プロフィール

桐生 進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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