HOME 読みもの アグリニュース 二酸化炭素回収を促進!? 【アグロフォレストリー】の可能性を分析 アグリニュース 二酸化炭素回収を促進!? 【アグロフォレストリー】の可能性を分析 二酸化炭素回収アグロフォレストリー 公開日:2022.8.31 最近のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によれば、『アグロフォレストリー』の推進は、土地生産性の向上、生活の多様化、土壌侵食の減少、水質の改善、地域の気候の快適化などにおいて、生物学的にも社会経済的にも利益をもたらすと期待されています。 イラスト/坂木浩子 アグロフォレストリーとは、『農業と林業とを一体化させる土地利用、生産システム』のことです。農地に植えられた果樹などの樹木により、従来の単一栽培ではできなかった持続可能な生産が可能になります。30億本とも推定される樹木の約1/3は森林の外に生育していますが、農地周辺を含めた、それら「森林外の樹木」には、重要な働きがあるというわけです。しかし、人が利用する土地ごとの炭素計算は不充分であるため、森林外樹木を詳しく解析する必要性が指摘されてきました。 このほど、中国科学院などの研究グループは、15年間にわたる共同研究により、アグロフォレストリーとその二酸化炭素回収の可能性に関する最新研究を報告しました。この報告は『Circular Agricultural Systems』誌に掲載されています。 研究では、(1)既存の農地からのゆっくりとした変化、(2)アグロフォレストリー・システムへの変化、という2つのシナリオが分析されました。 その結果、(1)ではバイオマス炭素が4~6 PgC(ペタグラム炭素)増加し、(2)では最大12~19 PgC増加すると推定されました。さらに、農地の樹木を世界全体でわずか10%、つまり今後10年間で、毎年1%ずつ増加させれば、18 PgC以上を吸収できる可能性も示されました。 これは、アグロフォレストリーへの移行により、熱帯での森林の損失をある程度カバーできる可能性があることを意味しています。 文:保谷彰彦 この記事をシェア 関連記事 2024.4.6 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(後編) 去る3月2日、表題のフォーラムが開催された。前編で紹介した基調講演に続いて行われ […] 獣がいフォーラム獣害 2024.4.5 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(前編) 生産者が丹精を込めて栽培しても、収穫前に野生動物に農作物を食べられては、すべての […] 獣がいフォーラム獣害ヒグマ対策 2024.4.4 第39回花卉懇談会フォーラム~新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方~ 2024年2月23日、表題のフォーラムが東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催 […]