HOME 読みもの アグリニュース 品種改良への活用に期待 野生トマトのゲノム解読に成功 アグリニュース 品種改良への活用に期待 野生トマトのゲノム解読に成功 公開日:2022.9.9 トマトは世界的に重要な作物です。トマトには、必須栄養素、特にプロビタミン A、葉酸、ビタミン C、ビタミン E、ビタミン K、カルシウムなどが豊富に含まれています。しかし、トマトの収量は、環境条件の悪化、病気、害虫被害、収穫後プロセスによる損失などによって、しばしば著しく減少します。そのため、育種には大きな期待が寄せられています。 トマトの野生近縁種の少なくとも14種は、栽培種と交配できるため、育種において貴重な天然の遺伝資源です。実際に、野生近縁種の病原抵抗性などが栽培種トマトに導入されています。このようにトマトの野生近縁種は栽培トマトの育種において有用であるにもかかわらず、トマトの野生近縁種のゲノム解読は進んでいませんでした。 イラスト/坂木浩子 このほど、コーネル大学ボイストンプソン研究所(アメリカ)などの研究グループは、トマトの野生種近縁種(Solanum lycopersicoides)のゲノム解読に成功しました。この研究成果は『The Plant Journal』誌に掲載されています。 この解析により、37,938個のタンパク質をコードする遺伝子が確認され、果実の色や風味、栄養に寄与するフェノールやカロテノイドなどの化合物に関連するいくつかの候補遺伝子や、病害抵抗性に関連する遺伝子などが発見されました。 さらに、ゲノム情報へのアクセスや探索を容易にするために、プロジェクトチーム以外の研究者が利用できるウェブベースのツールやコンポーネントも開発されました。これらのツールと新しいゲノム情報を組み合わせることで、野生近縁種に備わる、病原菌抵抗性、乾燥耐性など、さまざまな優れた形質が、栽培トマトの育種に活用されやすくなると期待されます。 文:保谷彰彦 この記事をシェア 関連記事 2023.3.18 第38回 花卉懇談会フォーラム 「不透明な時代に考える 地域からの発信」 去る2月18日、東京農業大学世田谷キャンパスにて表題のフォーラムが開催された。ロ […] セミナー花卉懇談会コミュニティガーデン宿根草花卉 2023.3.10 不耕起農業、カバークロップの栽培で土壌への炭素貯留を向上できる 地球温暖化対策一環として、土壌への炭素の貯留を促すことを目的に、圃場を耕さずに作 […] 不耕起二酸化炭素カバークロップ 2023.3.3 花弁の構造色に新発見!! 表面のクチクラにヒミツあり 花の色には送粉者を誘う働きがあります。花色を生みだすのは色素と構造色です。構造色 […] 花弁ギンセンカ構造色クチクラ