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次世代放射光を利用して           エダマメの美味しさに迫る

公開日:2022.10.10

農産物の美味しさには、糖質や旨味物質などの含有成分はもとより、口に入れた時に感じられる軟らかさや歯ごたえといった『テクスチャ』も関わっています。しかしながら、含有成分が正確に測定できるようになっている一方で、テクスチャについては未だ評価する技術が揃っていないのが実情です。

そこで東北大学大学院農学研究科の研究グループは、仙台枝豆のブランド化を進めるJA仙台と協力の下、兵庫県にある放射光施設Spring8の施設を利用してエダマメの美味しさに迫る研究に取り組みました。

イラスト/坂木浩子

この研究に取り組むに当たり、研究グループはエダマメの美味しさと硬さの関係を検討することにより、テクスチャも評価要素に加えて、美味しさを評価する基準となる情報を得ることを目指しました。宮城県を代表するエダマメ品種であるミヤギシロメの冷凍豆を茹でて、茹で時間に応じて食感がどのように変化するのかを、人が食べて食味を調べる官能試験、茹で豆を潰して物理特性を調べる破壊試験で評価するとともに、Spring8のイメージング技術を用いて内部抗争を測定しました。

その結果、エダマメの内部にできた亀裂や空隙、再外層の種皮の内側にある薄膜などを詳しく観察できました。画像を3次元化することにより、維管束と、そこから派生したと思われる亀裂も観察でき、茹で時間による水分の侵入具合を測定することで、軟らかさとの関連も明らかになりました。

同様の研究はエダマメに限らず、他の農産物でも行えるでしょうから、官能試験や破壊試験の結果と取らし合わせることで、テクスチャも考慮に入れて農産物の美味しさを評価できるようになると期待されています。

文:斉藤勝司

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