HOME 読みもの アグリニュース 気候変動に対する農作物の反応を調べる ロボティクス人工気象室の運用を開始 アグリニュース 気候変動に対する農作物の反応を調べる ロボティクス人工気象室の運用を開始 公開日:2022.12.7 気候変動が深刻化していけば、安定して農産物を生産していくことが困難になるかもしれません。収量や品質、収穫時期にも大きな影響が及ぶことが心配されており、気候変動に対処するため、多様な環境で栽培した時に農作物がどのような反応を見せるかを把握することが求められています。 しかし、多くの農作物は年に一度しか栽培試験が行えないため、試験する環境条件が増えれば増えるのど、多くの場所、長い時間、多大な労力が必要になります。そもそも露地栽培では環境を制御することはできないため、気候変動などを想定した栽培環境の再現は不可能です。その点で環境制御が可能な人工気象室は有効なはずですが、これまであった施設は栽培環境を精度よく再現できないという難点がありました。 イラスト/坂木浩子 農研機構は高精度に栽培環境を再現できる人工気象室「栽培環境エミュレータ」に、農作物のデータを採取する「ロボット計測装置」を組み込んだ「ロボティクス人工気象室」を開発し、運用を開始しました。 この施設では栽培環境を精密に再現できるのはもちろんのこと、複数のカメラによって農作物を撮影できるようになっており、栽培環境を乱す気象室の開閉を行うことなく、連続して農作物のデータを取得することが可能です。農研機構が運用するスーパーコンピュータ「紫峰」と連動させることにより、得られたデータを迅速に解析できるようになっています。 農研機構構内からだけでなく、外部の研究機関、民間企業も栽培環境に対する農作物の応答を調べられるようになっており、今後、この施設を活用することにより、多様な環境に適応するための新品種の育成や栽培技術の開発が進むことでしょう。 文/斉藤勝司 この記事をシェア 関連記事 2024.4.6 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(後編) 去る3月2日、表題のフォーラムが開催された。前編で紹介した基調講演に続いて行われ […] 獣害獣がいフォーラム 2024.4.5 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(前編) 生産者が丹精を込めて栽培しても、収穫前に野生動物に農作物を食べられては、すべての […] ヒグマ対策獣がいフォーラム獣害 2024.4.4 第39回花卉懇談会フォーラム~新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方~ 2024年2月23日、表題のフォーラムが東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催 […]